大林組/建物解体後の鉄骨とコンクリの構造部材を新築建物へ再使用、CO2排出量削減

大林組は解体した建物の鉄骨やコンクリート製の構造部材を、新築建物の構造体にリユース(再使用)する取り組みを始めた。同社技術研究所(東京都清瀬市)内の「実験棟オープンラボ3新築工事」で採用。新築建物の構造部材のうち鉄骨57%、コンクリート33%に、解体建物のリユース材を使用した。構造部材製造に伴う二酸化炭素(CO2)排出量は69・3トン。新たに全ての資材を調達する場合(135・1トン)に比べ約49%減の65・8トンを削減する見込み。
木造建築では解体後の木材をリユースする例はある。一方、解体後の鉄骨やコンクリートは溶解や破砕され新たな建材にリサイクルされるのが一般的。新築建物の構造体としてリユースするのは国内で例を見ない。
同工事では解体する実験棟の柱や梁、ブレースなど全種別の鉄骨部材を撤去し、鉄骨製作会社が新築建物に合わせて切断などの加工を施した上で、再び構造体に使用する。基礎や基礎梁、小梁、床など全種別のコンクリート製構造部材は、新築建物の平面形状に合わせて切断。新築現場のヤードで接合部を加工し、現場で新材と接合するなどにより新実験棟の構造体としてリユースする。
この手法により場所を限定せずスパンも変更可能なため、より自由度が高く、構造部材の有効活用が実現する。リユース材の活用は、リサイクル材(再生材)を使用した場合に比べ、部材製造時のCO2排出量を抑えられる。
同社は今後、研究員が解体建物の構造体の状態や、リユース材の加工状況などを検証し、迅速な技術改善や新たな技術開発につなげる。取り組みで得た知見を生かし、リユース技術やサステナブル技術を開発・提案していく。

© 日刊建設工業新聞社