「その言葉は救いでした」26歳で引退を決意した小野伸二を翻意させた、27歳で現役を辞めた元Jリーガーの助言「俺は後悔してるよ」

昨シーズン限りで現役を引退した日本代表の小野伸二氏が、DAZNで配信中のドキュメンタリー「SHINJI ONO」で、驚きの事実を明かした。

日本が1勝もできずに敗退した2006年のドイツ・ワールドカップで、1-3で敗れたオーストラリア戦のスケープゴートにされた小野氏の元には、大会後に厳しい声が寄せられた。自身の出来にも失望した天才MFは、26歳にして引退を本気で考えていたという。

「サッカーを心から楽しめなくなったというか、あの試合の後からそういう時期が続いて。どうしても自分が悪かったというのもそうだし、周りからの批判もそうですし、そういうものを受けすぎてしまって、もう辞めてもいいかなと一時期は思いましたね」

小野氏は、浦和レッズ時代の1つ上の先輩で、高卒で入団した時からお世話になっていた田畑昭宏氏に、その思いを打ち明けた。田畑氏はこう回想する。

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「お互いの家族で、みんなで飯に行こうとなって、たまたま時間がちょっとあって。当時自分が住んでいたところの駐車場で2人になった時に、伸二が急にサッカー辞めようかなって。ぽろっと言ってきて。引退しようと思ってると」

その前年に、オファーがありながらも27歳の若さで現役を引退していた田畑氏は、「僕は選手を辞めてスカウトという仕事をしてて、必要とされるチームがあったり、場所があるんだったら、絶対やったほうがいいと思ってたので、その思いを伸二に素直に伝えた」という。

「辞めてみて、サッカー選手って素晴らしいなと思って。1回辞めちゃったら戻れない。必要とされる場所があったり、やれる場所があるなら、絶対辞めちゃだめだと。俺は後悔してるよと伝えた」

小野氏は「その言葉がなかったら、『もういいかな』みたいな感じで思ってたので、その言葉は救いでしたね」と回想する。

田畑氏の一言がなければ、稀代のファンタジスタが44歳まで現役を続けることはなかったかもしれない。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部

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