容疑者、トム・クルーズ。身の潔白を証明すべく奔走する男の近未来SFアクション大作

サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2002年公開の『マイノリティ・リポート』をご紹介します!

『マイノリティ・リポート』 ブルーレイ発売中 デジタル配信中(購入/レンタル) 発売:ウォルト・ディズニー・ジャパン

『ブレードランナー』の原作者として知られるSF作家フィリップ・K・ディックの短編小説を、スティーブン・スピルバーグ監督が映画化。西暦2054年、犯罪の予知が可能となり、未然に犯人を特定して殺人事件を防ぐことが可能になった時代。犯罪予防局の捜査官ジョン・アンダートン(トム・クルーズ)は、自分が36時間後に殺人事件を起こすと予知され、追う立場から追われる立場に一転。全く身に覚えのないジョンは、身の潔白を証明すべくシステムの不備を疑い真相を探っていくのだが……。

事前に犯人を特定して逮捕するといえば、対象の犯罪係数を測定し、規定値を上回る者を“潜在犯”として裁く『PSYCHO-PASS サイコパス』シリーズを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。しかし、本作が公開されたのは『PSYCHO-PASS サイコパス』放送の10年前。そして、2000年初期に描かれた2054年の未来社会のディテールは、2024年を迎えた今目にしても違和感がなく、いずれ訪れるであろう未来を予期させる。それもそのはず、スピルバーグは未来世界のリアリティを追求すべく、各界のスペシャリストを集めたシンクタンクを結成して作品世界を構築しているのである。

また、ロジカルに組み上げられた未来世界において繰り広げられるドラマも見応えたっぷりで、事件の真相を探るジョンに降りかかる困難の数々、犯罪予知システムの秘密、二転三転する物語と、目にする者に息つく暇を与えない。ジョンは本当に人を殺してしまうのか、マイノリティ・リポート(少数報告)が意味するものとは何なのか、是非ご自分の目と心でお確かめ下さい。

(C)2013 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

© 株式会社 音元出版