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宅配便大手のヤマトホールディングス<9064>が、CVC(コーポレート・ベンチャーキャピタル)ファンド「KURONEKO Innovation Fund」の2号ファンドを立ち上げた。
2027年3月期を最終年とする中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」の実現に向けて、オープンイノベーション(社内外の技術やサービスを組み合わせて革新的な価値を創り出す取り組み)を加速させるのが狙いだ。
2020年に設立した1号ファンドの投資領域に、新たに気候テックなどの社会課題の解決につながる分野を加えるとともに、これまでの投資対象のステージがシード、アーリー、ミドルだったのをレイターにまで広げることで、協業を増やし相乗効果を高めるという。
中期経営計画では成長領域でのM&AやCVCを介した提携などによって事業を拡大する方針を打ち出しており、期間中の3年間に営業利益を現在の2~3倍に拡大する。
足元の2024年3月期は、宅配便の取扱数量や国際輸送の需要が減少したことなどから、3期連続で大幅な営業減益に陥っている。CVCは反転攻勢に導くことができるだろうか。
協業が見込めるスタートアップに投資
2号ファンドのファンド規模は80億円で、1号ファンドより30億円増やしたほか、中期経営計画で注目しているサステナビリティやトランスフォーメーションなどの分野にも投資領域を広げた。
物流やサプライチェーンに変革を起こし得る技術やビジネスモデルを持つスタートアップや、ヤマトとの協業が見込めるスタートアップを対象に投資する。
ヤマトホールディングスの長尾裕社長は「ヤマトグループが保有する物流の知見や経営資源を(スタートアップが)活用できる体制も構築した」とCVCの成果に期待を寄せる。
M&Aにも注力、営業利益の4分の1を
中期経営計画「サステナビリティ・トランスフォーメーション2030 ~1st Stage~」では、期間中の3年間を「サステナビリティ・トランスフォーメーションを実現する期間」と位置付けており、宅配便などでのカーボンニュートラリティ(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする取り組み)の達成や、DX(デジタル技術で生活やビジネスを変革する取り組み)による次世代の営業、オペレーションの実現に取り組む。
こうした対策で最終年の2027年3月期に、売上高は2兆円(2024年3月期比13.7%増)~2兆4000億円(同36.4%増)に、営業利益は1200億円(同2倍)~1600億円(同3倍)に高める。
同中期経営計画ではCVCと並行してM&Aにも注力する方針で、2027年3月期に予想している営業利益1600億円のうち、400億円をM&Aで稼ぎ出す計画を公表している。
CVCとM&Aが中期経営計画を推進する両輪となりそうだ。
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文:M&A Online記者 松本亮一
【ヤマトホールディングス】CL(コントラクト・ロジスティクス)事業とグローバル事業でM&A活用
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松本亮一
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日刊工業新聞社入社後、大阪支社編集局で証券、機械、科学技術、流通、神戸支局、京都支局などの記者を経て、大阪支社編集局産業部長、本社編集局中小企業部長、神戸支局長、執行役員西部支社長、執行役員本社業務局長、日刊工業関西広告社社長を歴任。2017年ストライクに入社、M&A Online 編集委員に。2023年からM&A Online 記者。大分大学経済学部卒。