「ドラクエ3」も「ロマサガ2」もSteamで出る! 「Nintendo Direct」はPCゲーマーも要チェック 【石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』】

by 石田 賀津男

「Nintendo Direct 2024.6.18」のWebサイト

「Nintendo Direct」の新作発表はSwitch用だけではなかった

6月18日に公開された任天堂の最新情報を発表する動画「Nintendo Direct」はもうご覧になっただろうか。Nintendo Switchの後継機種については、今回もアナウンスなしと事前に告知されているが、今後Switchで発売されるタイトルが多数発表されている。

PCゲーマーの多くは「そう、関係ないね」と思っているかもしれない。しかし、最近はそう言い切れない。ここで発表されたタイトルが、PC向けにも発売されるということがかなり増えてきている。

今回の発表でも注目タイトルの1つとされた「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は、SwitchだけでなくSteamでも発売される。

スクウェア・エニックス側の動画と比べるとわかる

まずは「Nintendo Direct」で流れた「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」の動画をご覧いただきたい。

「ドラゴンクエスト」シリーズの新作発表といえば、誰もが知っているオープニング曲「序曲」がかかるのが定番だ。しかしシリーズ作品の数が増え、リメイク作品も多くなったからか、タイトル発表の動画にも関わらずエンディング曲「そして伝説へ」を使うという荒業である。本作のターゲット層がプレイ経験者であることもよくわかる。

続いて、本作を発売するスクウェア・エニックスが公開した動画も見てみよう。

2つの動画の違いに気づいただろうか。「Nintendo Direct」の方はSwitch版の発売を告知する内容だが、スクウェア・エニックスの方はSwitchだけでなく、PlayStation 5、Xbox Series X|S、Steam、Windowsのプラットフォームロゴが入っている。発売日は2024年11月14日で同じだ。

スクウェア・エニックスとしては、「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」のタイトル発表を「Nintendo Direct」で行いつつ、実際はマルチプラットフォーム展開なので、PC向けにも販売するということだ。

同じく「Nintendo Direct」で発表となった「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」も、スクウェア・エニックスが公開した動画と合わせて見てみよう。こちらは内容やナレーションが一部異なる。

これも「Nintendo Direct」の動画ではSwitchのロゴしかないが、スクウェア・エニックスの動画ではPS5/PS4とSteamのロゴが入っている。発売日は10月24日だが、Steamは1日遅れの10月25日の予定。価格はパッケージ版・ダウンロード版ともに6,820円で共通だ。なおSwitchとPS5/PS4版には22,000円のコレクターズエディションが用意されるが、パッケージ版がないSteamにはないようだ。

「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」と「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」の2作品は、既にSteamのページが公開されており、予約購入もできる。

また「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」の動画の最後に追加発表された「ドラゴンクエストI&II」についても、既にSteamのページが用意されている。発売は2025年で価格も未定だが、ウィッシュリストへの追加は可能。

国産タイトルでもPCへの展開が増えている

「マリオ」や「ゼルダ」など任天堂のゲームについては、任天堂以外のハードで発売されることは稀だ。最近はスマートフォン向けのタイトルが存在するので、今後も絶対にないとは言い切れないが、PC向けは当面はないと思われる。

しかし任天堂以外のサードパーティ製タイトルについては、マルチプラットフォーム展開されることが多くなっている。PlayStationとXboxの両方で出る作品は以前からかなり多い。さらに最近はPC向け、主にSteamにも提供されるものが増えてきている。Switchは他と比べて処理能力が低いため、展開から省かれることもある。

ではなぜ今回、「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」や「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」が「Nintendo Direct」で発表したのか。おそらくPCを含む他のどのプラットフォームよりも、Switchでよく売れると見込まれたからだろう。

また海外より日本国内で売れると見ているのもあるはず。もし海外を主戦場と考えるなら、6月初旬に開催された「Summer Game Fest 2024」などに合わせて、先に発表されていたはずだ。「Summer Game Fest 2024」は、米国で長年開催された「E3」がコロナ禍の影響で2021年を最後に開催されなくなり、その代替イベントとして注目されている。

とはいえ海外展開を諦めているわけでもない。Steam版の言語情報を見ると、「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」は日本語を含む10言語に対応。「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は8言語に対応で、英語のフル音声も収録される。「ドラゴンクエストI&II」に至っては、10言語対応+英語のフル音声付きとなっている(記載ミスでなければだが)。

「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」は英語のフル音声も収録。英語音声・日本語字幕で遊べば雰囲気が出そう

色々な思惑が重なった結果、この2タイトルについては、マルチプラットフォーム展開でありながらも、「Nintendo Direct」で発表しようとスクウェア・エニックスが判断したわけだ。原版はファミコンとスーパーファミコンなので、任天堂への義理もあったのかもしれないが。

このほかにも、スパイク・チュンソフトの「かまいたちの夜×3」や、日本一ソフトウェアの「ファントム・ブレイブ 幽霊船団と消えた英雄」、カプコンの「逆転検事1&2 御剣セレクション」などなど、SwitchだけでなくSteamでも発売されるタイトルがいくつも紹介されている。

筆者も今回調べてみて、「Steamでこんなに出るんだ」と驚いた。以前は海外展開に前向きだったメーカーやタイトルに限ってSteamでも出るという印象だったが、今やSteamで出ない方が少数派になってきている(もちろん任天堂のタイトルを除いてだ)。特にコマンド選択型のRPGは海外では嘲笑の的ですらあったが、JRPGというジャンルとして辛抱強く押し続けてきた成果が出てきたのかもしれない。

「Nintendo Direct」はPCゲーマーには関係ないと言わずに、自分も参加できるお祭りとして楽しんでみることをおすすめしたい。もちろん任天堂のゲームにも面白い作品はいっぱいあるので、「私はPC一本だから」と片意地を張らず、Switchの作品も楽しんでもらえればと願っている。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』 記事一覧

PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。

© 株式会社インプレス