劇症型溶連菌 茨城県内も増加 感染者 最多に 県が注意喚起

 溶血性レンサ球菌(溶連菌)が原因で、致死率の高い「劇症型溶血性レンサ球菌感染症」の患者数が、今年1月からの累計で過去最多の18人となったことが27日、茨城県のまとめで分かった。すでに昨年1年間の患者数を上回った。全国的に感染が広がっており、専門家は手洗いやせきエチケットなど「基本的な予防策が大切」と呼びかける。

溶連菌は多臓器不全を伴うショック症状や手足の壊死(えし)など、重篤な症状を引き起こすことがある。致死率は3割ともいわれ、発熱や体の痛み、血圧低下などの症状が出てから急激に悪化するのが特徴だ。一般的には咽頭炎などを引き起こす。

県内の年ごとの患者数は2020年以降は年間7~9人で推移していたが、昨年は17人に増え、過去最多だった。今年に入り、さらに増加。今月10~16日の週の時点で、昨年に並ぶ17人となり、その翌週に1人増えて18人となった。

県内10カ所の保健所別では、北は日立、南は竜ケ崎まで計8保健所の管内で報告があった。

全国の患者数は今月10~16日の週で1070人。過去最多だった昨年1年間の941人を早くも上回り、全国的に感染者が増加している。

県医師会副会長で、ひたちなか総合病院に勤務する外科医、間瀬憲多朗さんは「最初は風邪のような症状のため、見分けが付きにくい」と指摘する。症状の悪化や異変を感じた際は早期の受診が必要とし、劇症型が疑われる場合は抗生物質による治療を行うという。

感染増加の要因については「はっきりとは分かっていない」とし、手洗いやせきエチケットなど基本的な予防策の重要性を強調する。感染経路の一つとされる傷口については「水道水などで十分に洗浄することが大切」と話す。

県でも保健医療部の公式X(旧ツイッター)や県ホームページで予防策を発信。各医療機関に向けては感染増加や予防策などを周知し、注意喚起している。

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