ピチピチ&コロコロ「おいで~!」 可愛い “手のひらサイズ” 小魚50匹! 田んぼ水路でほっこり里釣りレポ

霞ヶ浦のホソで釣れたオイカワ。酸欠に弱いので、釣れたらすぐに放してやるといいだろう(撮影:水卜ヤマト)

みなさんは、日本で二番目に大きな湖である霞ヶ浦(かすみがうら)の周辺で、昔から小物釣りが楽しまれていることをご存じだろうか? 米やレンコン作りが盛んなこの地域には、いたるところに田んぼがあり、そこへ水を引くための水路が無数に存在する。小物釣りは通称「ホソ」と呼ばれる水路で行われ、地元の人はもちろんのこと、県外からも多くの愛好家が訪れる人気の釣り場となっている。

今回は、そんな霞ヶ浦のホソでの小物釣りが好調との情報を聞きつけ出かけてきた。数釣りだけでなく、多くの魚種を釣り上げることができたので、その模様をレポートする。

これから霞ヶ浦の小物釣りにチャレンジしてみたいと考えている人に役立つ情報をまとめたので、ぜひ最後まで目を通していただきたい。

■小物釣りは、梅雨明け前がおすすめ

霞ヶ浦周辺のホソで釣れる魚は、コイやフナ、タナゴ、モツゴ(クチボソ)などのいわゆるコイ科の魚が多くを占めている。これらは水温20~25℃前後といった比較的温かい水を好む。ホソの水温が20℃前半になる春~初夏(梅雨明け前)にかけて高活性となり、エサをよく口にするようになる。

このため冬の低水温時と比べると、アタリ(魚が釣り針につけたエサを口にしたときに出るウキの動き)が大きく出るため、アワセ(魚の口に釣り針を掛けること)やすく、釣り初心者でも容易に釣果を得られる。これから小物釣りを始めたいと考えている人にとっては、梅雨明け前がうってつけの時期である。

ほかにもこの時期にはホソに生息する魚たちの多くが産卵期を迎えることから、タナゴなど一部の種類の雄(オス)は、鮮やかな婚姻色を身にまとい非常に美しい見た目になる。そんな美しい魚体が見られるのもこの時期ならではの楽しみの一つといっていいだろう。

ちなみに、梅雨明け後~9月頃までは水温が30℃以上と高くなりすぎてしまい、魚の適水温から大きく外れるため、釣りにはあまり適さない。

■初心者は、釣り人が集まるホソを探るのがおすすめ

霞ヶ浦の周辺には無数のホソが存在すると先述したが、どのホソでも魚が釣れるという訳ではない。現地に通い、釣れるホソを探し出すのもこの釣りの醍醐味であるが、県外から訪れる初心者はなかなかそういう訳にもいかないだろう。

そんな土地勘のない初心者が期待の釣果を得たい場合は、釣り人が集まるホソを探し出し、その近くで釣りをさせてもらうのが手っ取り早く確実である。

霞ヶ浦周辺のホソは、湖岸線に沿って走る土手道の裏手にある。土手道に車を走らせていれば、釣り人が集まるホソを見つけられるはずである(ただし、走行中のよそ見運転は危険なのでしないように)。

首尾よくそんなホソを見つけられたら、釣り人(先客)にしっかりと挨拶をしてから、魚が釣れているかどうかを聞いてみてもらいたい。もし釣れているようならば、近くで釣りをさせてもらえないかどうかを確認したうえで釣り座を構えよう。

筆者はこれまでに何度も同じ手法を使って釣れるホソを探してきたが、話しかけた釣り人に嫌な顔をされたことはこれまで一度もなかった。みなさんとても快く釣り場の共有を許してくれ、なかには今でも友だち付き合いをさせてもらっている人が何人かいる。

当日はそんな友人から得た情報をもとに、霞ヶ浦の北部エリア(小美玉市、かすみがうら市)にある2か所のホソと、その近くにある水門(霞ヶ浦とホソを隔てる水門)の合計3か所のポイントで釣りを楽しんだ。

■初心者には、市販のタナゴ用セット仕掛けがおすすめ

今回、筆者が使用した仕掛けはタナゴ釣りでお馴染みの「ウキ仕掛け(連動シモリ仕掛け)」である。親ウキと呼ばれるウキの下に糸ウキという視認性の良い目印が複数個ついているタイプで、大きなアタリだけでなく、魚がエサをついばむような小さなアタリもとらえることができる小物釣りに特化した仕掛けである。

小物釣りの熟練者のなかには、より小さなアタリを捉えられるように繊細な仕掛けを自作する人もいるが、初心者が楽しむうえでそこまでのものは必要ない。釣り具の量販店やネット通販などで手軽に購入可能なセット仕掛け(釣り糸を竿に結べば、すぐに釣りが出来る状態になっている仕掛け)で十分である。慣れないうちは小さなアタリをとらえるのは難しいかもしれないが、すぐにコツが掴めるだろう。

使用タックル
・ロッド:タナゴ竿 長さ80cm前後
・仕掛け:市販のタナゴ釣り用のセット仕掛け(連動シモリ仕掛け)
・エサ:タナゴ用のグルテンエサ(練りエサ)

あると便利な道具
・小物用の針外し:魚に触れずに針が外せる
・練りエサ入れ:練りエサが乾燥するのを防いでくれる
・折りたたみ椅子:釣り場での腰掛け
・ビク:釣った魚を生かしておくための魚入れ
・エアーポンプ:ビクに入れた魚に酸素を供給するためのポンプ
・小型アクリル水槽:釣った魚を横から観察できる
・タオル:濡れた手を拭くために使用
・水温計:適水温のチェック

■6月上旬に釣行。果たして、何種類&何匹釣れたのか?

この日、筆者が釣りを楽しんだのは、午前7時~午後13時までで実釣時間は5時間ほど。合計3か所のポイント(2か所のホソ&水門1か所)を回っての釣果は以下の通りである。

ホソでの釣果(実釣3.5時間)
・タイリクバラタナゴ 12匹
・モツゴ(クチボソ) 12匹
・オイカワ 8匹
・タモロコ 7匹
・ギンブナ 3匹
・ツチフキ 1匹

水門まわり(湖側)での釣果(実釣1.5時間)
・ヌマチチブ 6匹
・タイリクバラタナゴ 3匹
・オオタナゴ 2匹
・ブルーギル 2匹
・テナガエビ 1匹( スレ掛かり)

釣れた魚は、トータルで10種類50匹以上となった。

〇当日の釣果その①:コイ科の在来種(明治以前からいたとされる魚)3種類「オイカワ」「ギンブナ」「モツゴ(クチボソ)」

〇当日の釣果その②:ハゼ科&テナガエビ科の在来種(明治以前からいたとされる魚)2種類「ヌマチチブ」「テナガエビ」

〇当日の釣果その③:国内由来の外来種(日本の在来種であるが、他県から入ってきたとされる魚)2種類「タモロコ」「ツチフキ」

〇当日の釣果その④:国外由来の外来種(海外から入ってきた魚)3種類「タイリクバラタナゴ」「オオタナゴ」「ブルーギル」

■これからの季節は、魚も人も暑さ対策を忘れずに

今回、筆者が霞ヶ浦を訪れたのは、6月上旬の梅雨入り前。ホソの水温は日中で23℃と、小物釣りには最適な条件だった。梅雨に入って雨の日が続けば、水温の急激な上昇は防げるだろうが、徐々に上がっていくことは間違いないだろう。

水温が上昇すると水中に溶け込む酸素量が少なくなるため、魚は酸欠になりやすい。もし釣った魚の写真撮影で一時的にビクの中に入れておきたい場合は、水をこまめに入れ替えるのはもちろん、直射日光が魚に当たらない対策(日よけで覆うなど)を必ず実施してもらいたい。

ちなみに筆者の酸欠予防対策としては、充電式のエアーポンプ(通称「ブクブク」)を使用している。その効果はてきめんで魚たちは写真撮影までの間、ビクの中で元気に泳ぎ回っている。

以上のことを念頭において、霞ヶ浦の小物釣りを楽しんでもらいたい。

注意事項
霞ヶ浦周辺の田んぼでは農作業が盛んに行われている。軽トラックや小型重機の出入りなどがあるため、釣り場近くに車を停める際には農作業の邪魔にならないようくれぐれも注意しよう。
霞ヶ浦・北浦では湖の堤防外にあるホソでの釣りは遊漁券が不要。ただし、桜川、常陸川、新利根川など一部の流入河川で釣りする際は遊漁券が必要になる。

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