石川・珠洲の高齢者「仮設入りたい」 避難生活...熱中症も心配

小学校の教室で避難生活を送る藪さん。暑さに備え冷房が効いた1階の教室に移動した =石川県珠洲市・若山小

 能登半島地震による避難生活の長期化は、被災した高齢者の大きな負担となっている。「一日も早く仮設住宅に入りたいんけど、(仮設住宅が)当たらんのやわ」。石川県珠洲市にある若山小の教室で、避難生活を送る藪信子さん(74)は嘆く。

 仮設住宅は建設中のため、入居は抽選による順番待ちの状況だ。夏となり今後は熱中症も心配される。7月を目前に避難生活を送る2階の音楽室から、冷房機のある1階教室に移動した。震災後は急場をしのぐ生活が続く。

 藪さんは親族の家など避難先を転々とした後、若山小に身を寄せ、段ボールベッドで寝起きする避難所生活は2カ月半が過ぎた。食事などに気を付けて健康を維持しているが、長引く避難生活はこたえる。

 自宅の被災判定は「準半壊(一部損壊)」。家が傾いてしまった。今後については高齢なため「家を建てる気力もない」と話し「ゆくゆくは市営住宅かな。その前にここ(避難所)から出なきゃ始まらない」と表情を曇らせた。

 同じく若山小で避難生活を送る黒津和子さん(80)。震災前は夫と次男家族らと5人で生活していたが、自宅が全壊となって散り散りとなった。藪さんと同様に仮設住宅への入居待ちだ。「このままでは仮設入居は8月以降だね。今まで通りの生活に早く戻れたらいいんだけどね」とこぼした。

 孤立防ぐ見守り活動

 被災地では、仮設住宅に入居できても、住民は見知らぬ人が多く、住民同士の交流や相談の場がなくなり、高齢者が孤立してしまうケースも発生している。最悪の場合は被災者の孤独死にもつながることから、支援団体は交流会を開いたり、高齢者が住む仮設住宅を訪問したりして、被災者を健康面から支えている。

「お茶会」と題した交流会で、高齢の被災者から健康相談などに応じるスタッフら=石川県珠洲市・三崎公民館

 被災者の見守り活動を展開する「珠洲ささえ愛センター」は、珠洲市にある三崎公民館で「お茶会」と題した交流会を開催。健康や悩み相談も受け付けている。

 「話す相手がいなく、このままでは家に閉じこもっていた。ありがたい」。仮設住宅で生活を送る中西美幸さん(85)はスタッフに感謝した。同センターは、NPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」と連携し、看護師のスタッフによる血圧測定や体操も展開している。
 (記事、写真ともに報道部写真映像課・石井裕貴)

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