「中尺パター入門」は中古から 長さ、ロフト、重さ…選び方の基準とは

デシャンボーは43インチの中尺を使う(撮影/村上航)

「全米オープン」で優勝したブライソン・デシャンボーは、一般的なパターよりも少し長い中尺パターの使い手。昨年復活勝利を飾ったリッキー・ファウラーが使用したオデッセイの中尺も限定発売され、“瞬殺”で売り切れ。オークションサイトでは定価以上の値で取引されており現在も人気がある。そんな話題の中尺パターのメリットと中古価格を調査した。

そもそも「中尺パター」のメリットは

シニアプロの間では、振り子のようにストロークしやすい長尺パターが人気。ただ、慣れるまでにはかなりの練習量が必要で、アマチュアの使用者はかなり限定的だ。その点、中尺は扱いやすく、手軽にチャレンジできる。一般的な長さのモデルと同じ感覚で中尺を握ると、グリップエンド部分が長く残り、手元に重量を感じる。必然的にカウンターバランスになり、ヘッドが重くてもテークバックしやすい。

デシャンボーが使う中尺用のグリップ(写真手前)はサイズも太さもジャンボサイズ

デシャンボーのように前腕部にグリップを押し付けるアームロック用のパターもある。グリップを左腕前腕にグリップ固定して打つため、ハンドファーストが強く、自ずとパターのロフト角が必要になる。いずれにしても、慣性モーメントが大きいドライバーのようにオートマチックに打てるのが中尺パターだ。

基本的なシャフト長は37インチから40インチ前後。ちなみに身長185cmのデシャンボーは43インチで、人によっては長尺と言えるだろう。ヘッドサイズは大きめで、重量もある。太くて長いグリップが装着されていることが多い。グリップが太いと、手のひらに密着する面が広いため、握りがブレないメリットがある。実際に構えただけでも、リストを使えないことを実感できるだろう。

アームロックで打つならロフトのあるモデルを選びたい(撮影/村上航)

人気の中尺パターはいくら?

ファウラー愛用のオデッセイ「LIMITED EDITION JAILBIRD 380」は中古市場で高値が続いており、約7万円もする。ことし発売の「JAILBIRD Ai-ONE クルーザー ストロークラボ SL140」はオークションサイトで新品価格と遜色ない5万円弱。この2つが圧倒的な人気を誇る。

コストパフォーマンスに優れた中尺モデルを店頭で探すのは非常に大変だ。GDOの中古ゴルフショップから探してみよう。4000本近くあるパターの在庫から中尺を見つけるためには、絞り込み機能、キーワード検索が有効。シャフト長を示す「38」などを入力してみる。身長167㎝の筆者にとっての中尺は37インチくらいから。リシャフトされた37インチのオデッセイ 「ホワイト・ホット VERSA THREE TS」(2023年)が2万円弱、「ホワイト・ホット OG ロッシー S」(2022年)は1万円台前半で見つかった。

中古のオンラインショップでもいくつか見つかった

38インチで検索すると、ピン「DS 72 アームロック」(2022年)を3万円弱で発見。39インチだとオデッセイ「Ai-ONEクルーザー アームロック #7 DB」が3万円強であった。40インチのテーラーメイド 「TP コレクション ハイドロブラスト DELMONTE アームロック」(2022年)は2万5000円弱。中古の中尺パターはやはりゴルファーが自らカスタマイズしたものばかりで、アームロック用のものが圧倒的に多かった。

自分で作るのもひとつの手

筆者も通常のパターを3本、37インチに改造したクチだ。ヘッドは大きく、重めのモデルを選びたい。テーラーメイドの初代スパイダーや、スパイダーツアーなどが素材としておもしろい。もしくはタンスに眠っている、“惜しいパター”を改造するといいだろう。

中尺用に改造するなら、ウエイトが交換できるヘッドがおすすめ

シャフトはグリップ内で2本つなぎ合わせることもできるが、安定感を欠くことがあるのでリシャフトがオススメ。ただし、通常よりも長いグリップは高価で、取扱店舗が少ない。シャフト交換とグリップ代で、かなりの金額となってしまうので覚悟しよう。

昨今のPGAツアーでは、慣性モーメントが大きいネオマレット、そしてさらにオートマチックに打てる中尺パターの使用者がまた増えてきた印象がある。いきなり人気モデルに飛びつくのも悪くないが、中古ショップでコスパの良い中尺を試してみるのはいかがだろう。(文・田島基晴)

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