都区部CPI、6月は+2.1% 電気・ガス価格抑制策の影響縮小

Takahiko Wada

[東京 28日 ロイター] - 総務省が28日に発表した6月の東京都区部消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は107.0と、前年同月比2.1%上昇した。政府の電気・ガス価格激変対策による押し下げ効果が縮小したことでエネルギー価格の伸び率が拡大、コアCPIの伸び率は5月の1.9%を上回った。

ロイターがまとめた民間予測(同2.0%上昇)を上回った。

エネルギー価格は7.5%上昇で、伸び率は前月の5.9%から拡大した。都市ガス代が3.8%上昇と前月の3.9%下落から上昇に転じた。ただ、電気代は10.8%上昇で、前月の13.1%上昇を下回った。昨年6月は規制料金引き上げで電気代が上昇しており、今年6月の前年比伸び率縮小につながった。

政府の電気・ガス価格激変緩和対策により、総合指数は0.23%ポイント押し下げられた。しかし、押し下げ効果は5月の0.45%ポイントの約半分になった。

宿泊料は19.9%上昇で、前月の14.7%上昇を上回った。前年見られた全国旅行支援による下押し効果の反動が続いている。

家庭用耐久財は7.8%上昇でこちらも前月を上回った。ルームエアコンが22.0%上昇、猛暑で販売が好調だという。

一方で、生鮮食品を除く食料は3.0%上昇で、伸び率は前月の3.2%を下回った。原材料価格転嫁の影響はく落が続いている。

コア対象522品目のうち、上昇356、下落104、変わらず61、非調査対象が1だった。

<外食、食材価格上昇と人件費上昇の双方が影響との見方>

生鮮食品及びエネルギーを除く総合指数(コアコアCPI)は前年同月比1.8%上昇で、伸び率は前月の1.7%を小幅に上回った。

財・サービス別では、サービス価格が0.9%上昇。前月の0.7%上昇から伸び率が拡大した。宿泊料の影響が大きく「『第二の力』(賃金上昇分の価格転嫁)の強まりとは言いがたい」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の戸内修自シニアエコノミスト)との指摘が出ている。

ただ、戸内氏は一般サービスの外食に「第一の力」(原材料価格の上昇による物価高)の再燃と第二の力の「両方が見えてきているのではないか」と話す。一般サービスの外食は2.7%上昇と、前月の2.4%上昇を上回った。

為替市場ではドル/円が再び160円台に乗せた。戸内氏は、企業の価格設定行動の変化で円安が物価に反映されやすくなっている半面で、賃上げに伴う購買力の改善に悪影響を及ぼす可能性があると指摘。物価への影響の見極めが難しくなっているとの見方を示した。

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