南相馬市に拠点を置くベンチャー企業「人機一体」(滋賀県)の技術を活用した「多機能鉄道重機」が7月、JR西日本の営業線に導入される。人の操作に合わせて人型重機(ロボット)の手を動かせる仕組みで、鉄道設備の維持管理に利用する。当面は架線の支柱を塗装したり、運行の支障となる樹木を伐採したりする。人機一体が開発する人型重機が実用化されるのは初めて。同社などが27日、発表した。
転落や感電の危険が伴う高所作業をロボットが代替することで、安全性や生産性の向上につなげるのが狙い。同社の試作機を基に共同研究に取り組む日本信号が製造した。
人型重機は道路と線路の両方を走行できる鉄道工事用車両に搭載される。車両とロボットの間のクレーンが伸縮するため、最高12メートルで作業できる。最大40キロの物をつかみ、作業に応じた道具の装着も可能だ。操縦室は車両上にあり、操縦者がVR(仮想現実)ゴーグルを着用することでロボットと同じ目線で動かせる。
人機一体は鉄道以外の分野でも危険を伴う高所作業の機械化を目指す。土木分野で竹中土木、電力分野では東北電力ネットワークと共同研究を進めている。