由布市の「湯の坪街道」周辺でポイ捨て深刻 禁止条例制定へ市が作業開始【大分県】

ごみが入れられ、周囲にも紙やプラスチックの容器が散乱するリサイクルボックス=26日午後、由布市湯布院町川上
私有地に捨てられたたばこの吸い殻
ボランティア活動をする男性が集めたごみ
国内外から観光客が訪れる湯の坪街道

 【由布】国内外から多くの観光客が訪れる由布市湯布院町川上の「湯の坪街道」とその周辺で、食べ歩き後の包み紙やカップなどのポイ捨てが問題となっている。私有地にごみやたばこの吸い殻が捨てられ、自動販売機のリサイクルボックス周辺には飲み物のカップやペットボトルが散乱。市はポイ捨て禁止の条例制定に向け作業を開始し、民間の事業者の協力も仰ぎながら対策に乗り出す方針。

 土産物店や飲食店が並ぶ湯の坪街道。人出は新型コロナウイルス禍前の状況に迫りつつあり、購入した商品などを飲み食いしながら歩く観光客の姿が目立つ。店にごみ箱はあるが、道路や公園には設置されていない。

 それ故か、通り沿いの自動販売機のリサイクルボックスには、本来は入れてはいけないスプーンなどのプラスチックごみが捨てられ、周辺には飲み物のカップやペットボトルがあふれることも。

 植木に串や紙カップ、飲み物の容器などを入れられた近くの住民は「テイクアウトの店が増え、食べながら歩く人が多くなった」と憤る。

 私有地にたばこの吸い殻を捨てられ、たびたび掃除をする住民もいる。「放置すると、また捨てられるかもしれない」と納得できない様子で手を動かす。側溝に食べ残しやごみを突っ込まれていることもあるという。

 5月から週に5回、夕方の1時間ほどボランティアで通りのごみ拾いをしている自営業男性(32)は「1週間で45リットル入りのが袋5、6袋分たまる。捨てる場所を探す外国人観光客を見かけることもある」と話した。

 こうした状況を踏まえ、市は今月、環境課や商工観光課、湯布院振興局地域振興課など5課で構成する「ゴミ問題解決に向けた推進会議」を設置した。中心的施策となるのがポイ捨て禁止条例で、環境課が制定に向けた準備を進めている。条例には、市や事業者、訪問者らの責務を盛り込み、モラル向上を促す。罰則規定を設けるかは検討中という。

 観光客への啓発活動の推進や事業者との協力体制の確立も欠かせない。大塚守商工観光課長は「官民一体となってスピーディーに対策を進め、結果を出したい」と話している。

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