ゴルフ大会中、男性が心肺停止に 看護師経験のある仲間、AED操作するスタッフ 力合わせ救助

救命活動に尽力した(左から)藤中琢也さん、佐伯幸男さん、池田睦さん、山崎吉博さん=加古川市加古川町本町

 兵庫県加古川市のゴルフ場「城山ゴルフ俱楽部」で3月に開かれた大会に出場中の男性(80)がコース上で倒れ、心肺停止となった。ゴルフ場に自動体外式除細動器(AED)が整備されていたことや、居合わせた人たちの心肺蘇生などで、男性は車の運転ができるまでに回復。救助に携わった3人と同ゴルフ場に、加古川市中央消防署の辰己弘一署長から感謝状が贈られた。(斎藤 誉) ### ■突然膝から崩れ落ち

 感謝状を受けたのは、同ゴルフ場の山崎吉博支配人=加古川市、大会主催者の池田睦(むつみ)さん(33)=同、いずれも男性とコースを回っていた佐伯幸男さん(79)=播磨町、藤中琢也さん(64)=同=の4人。

 3月12日正午ごろ、佐伯さんと藤中さんは、次に打つ順番を控えた男性に目を向けると、突然男性が膝から崩れ落ちた。意識を失っており、2人で名前を大声で呼んだり、体をさすったりしたが、反応がない。

 看護師経験のある藤中さんは脈拍や呼吸がないのを確認し、すぐに心臓マッサージを始めた。患者の状況説明が的確にできる藤中さんはゴルフ場事務所に連絡。その間、佐伯さんが心臓マッサージを交代して男性の救命に努めた。 ### ■「持っている知識でなんとかしないと」

 知らせを受けた大会運営者の池田さんは、同ゴルフ場が備え付けていたAEDを持って現場へ急行。池田さんはスポーツ関連のNPO法人で指導者をしており、救命講習の講師を務めた経験があった。講習でAED操作には慣れていたが、救助事案への対応経験はない。それでも「持っている知識でなんとかしないと」という一心で、AEDで男性の体に電気ショックを与えるなどして、救急隊の到着を待った。 ### ■「また3人でゴルフできたら」

 同消防署で6月21日に感謝状を受けた藤中さんと佐伯さんは「元気になってよかった。また3人でゴルフできたら」と喜んだ。山崎支配人と池田さんは「居合わせた人ができることをしたおかげ。助けられてよかった」と話した。

 辰己署長は「今回、心肺停止してから救急隊到着まで約20分あった。この間に心肺蘇生などをしていないと生存率が急落する。命が助かったのは現場にいた人たちの適切な行動のおかげ」と感謝した。

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