高校生にへき地医療の現状話す 津高で神島診療所の医師・小泉さん 三重

【へき地医療の現状を話す小泉さん(中央奥)=津市新町の県立津高で】

 【津】三重県鳥羽市の離島、市立神島診療所医師の小泉圭吾さん(46)の講話が26日、津市新町の県立津高校であり、1―3年の約60人を前に、自身のキャリアやへき地医療の現状について話した。

 小泉さんは平成21年から4年間と同27年から現在まで神島で診療している。赴任間もない時期に起きた水の事故で、対応が遅く地元漁師から怒られた経験で「甘い気持ちがゼロになりこの島の医療の質は自分が決めていると自覚した」と振り返った。

 当初へき地医療に積極的でなかったが、地域に頼られる喜びから「『この人のために』『この地域のために』と思うようになった」と話した。

 この日集まった多くは医学系を目指す生徒。小泉さんは「目指す動機が自分の欲から出ているなら気を付けたほうがいい。出発点を間違っていると患者さんを不幸にする」と自戒を込めて助言した。

 人口減少、医師不足の現状に、クラウド型電子カルテの共有や高精細カメラを使ったオンライン診療など、少数の医師と看護師で離島全体を支える取り組みを紹介。「医者になる皆さんには離島、へき地の医療を見に来てほしい」と呼びかけた。

 8月には生徒が神島に小泉さんを訪ねる計画がある。1年の蔵前光一さん(16)は「へき地医療は命令されて行くのかと思ったが生き生きとしていて、本来の医師のあり方だと思った」、2年の寺浦日花里さん(17)は「これからのへき地医療のあり方が学べた。8月には神島に行きたい」と感想を話した。

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