小池百合子が“極右側近”を水道事業団体トップに天下りさせていた!「国民主権放棄」を主張する排外主義者が「水道」を牛耳る恐怖

東京都HPより

東京都知事選の投開票を前に現職の小池百合子氏をめぐり数々の疑惑が浮上している。小池氏の弁明の矛盾が次々と露呈している学歴詐称問題に加え、2年間で48億円にものぼるプロジェクションマッピング事業の不透明さ、首長に知事選出馬を要請した公選法違反疑惑……。そんななか、昨日27日発売の「週刊新潮」(新潮社)が、もうひとつ気になる問題を取り上げている。

それは、小池知事が都の幹部たちの天下りを放置し、平均報酬額が1000万円以上にもなる外郭団体への「天下り天国」になっている、という問題だ。

都幹部の天下り問題といえば、晴海フラッグや神宮外苑再開発を主導する三井不動産グループ2社に都局長ら幹部14人が天下りしていることを、しんぶん赤旗がスクープしていたが、今回は都の局長級がほぼ全員、外郭団体へ天下りしているという実態が暴露されていた。小池知事の「東京大改革」という触れ込みがいかにインチキであるかを物語っている報道といっていいだろう。

しかし、小池氏が天下りさせていたのは、都の幹部だけではない。今回の「週刊新潮」も指摘していたが、小池知事は自身のいわくつきの側近まで外郭団体に天下らせている。ほかでもない小池知事の政務担当特別秘書を務めてきた野田数氏だ。

野田氏といえば、早稲田大学を卒業後、当時、保守党所属の衆議院議員だった小池氏の秘書を務めた人物で、2016年に小池氏が都知事選に出馬した際には選対本部の責任者となり、知事就任後は小池氏が政務担当特別秘書に任命。2017年には「都民ファーストの会」の代表に就任したほか、『都政大改革─小池百合子知事&「チーム小池」の戦い』(扶桑社新書)を出版するなど、“小池氏の懐刀”と呼ばれてきた。

ところが、2019年3月、小池知事はそんな側近中の側近である野田氏を都の外郭団体である「東京水道サービス株式会社」(現・東京水道株式会社)の社長に推薦すると発表。野田氏は同月末で特別秘書を退任し、同年5月に社長に就任した。

東京水道サービスは東京都水道局の下請けとして水道の維持・管理をおこなう会社で、2020年4月に水道料金の徴収などを担当するPUCと合併し、新会社「東京水道」(通称・TOKYO WATER)を設立。水道のほぼすべての事業範囲をカバーする日本最大級の水道サービス会社となったが、野田氏はそのまま社長の椅子に座り続けている。

小池知事は当時の定例会見で、野田氏の社長就任について問われると、「天下りではなく適材適所」と言い張ったが、東京水道サービスの社長はそれまで水道局の水道局長の経験者が天下ってきたポスト。前例を破って野田氏をねじ込んだのは明らかだった。

⚫︎天下り報道の小池百合子・元秘書のトンデモ右翼思想“国民主権は傲慢”“大日本帝国憲法の復活を”

「週刊新潮」で、元都庁幹部の澤章氏がこの強引な天下りを、野田氏と小池氏が「途中から関係がぎくしゃくするようになった」ことが原因ではないかと推測していた。

「仲違いした野田さんを放逐してしまうと何を言われるか分からないので外郭団体の社長の座を用意したのではないか、と囁かれていました」(澤氏)

同誌によると、東京水道の平均役員報酬は約1200万円。ちなみに、2017年に公開された小池氏の特別秘書の給与は手当も含めて年額1410万3761円だった。つまり、小池知事は口封じのために同等レベルのポストを用意したというわけだ。

都の構造的な悪習となっている天下りを“改革”せず放置するばかりか、それを自身の保身のために悪用する──。これは、紛れもない“都政の私物化”ではないか。

しかも、本サイトがこの天下りでもうひとつ問題にしたいのが、小池氏が都民の生命を握る「日本最大級の水道サービス会社」のトップに座らせたその側近・野田氏の思想である。

野田氏といえば、都議だった2012年、石原慎太郎都知事の尖閣諸島購入に全面賛成し、国会議員の「尖閣視察団」に参加、「週刊文春」に誇らしげに国旗を掲げる姿が大きく掲載されるなど、その極右活動が有名だった。

しかし、野田氏の思想はそんなレベルにはとどまらない。同じ2012年にはなんと、現行の日本国憲法を無効とし、戦前の「大日本帝国憲法」の復活を求める請願を紹介議員として提出しているのだ。誓願書にはこんな文言が躍っていた。

〈我々臣民としては、国民主権といふ傲慢な思想を直ちに放棄して、速やかに占領典範と占領憲法の無効確認を行つて正統典範と正統憲法の現存確認をして原状回復を成し遂げる必要があります。これによつて、拉致問題、領土問題、教育問題、原発問題などについても原状回復による解決が図られ、祖国の再生が実現しうるものと確信するものです。〉

時代錯誤な言辞の数々にクラクラしてくるが、とくに民主主義の根幹である国民主権を「傲慢な思想」として「直ちに放棄」すべきと主張するにいたっては、唖然とするほかない。

また、野田氏は、都議時代から都立高校の歴史教科書から南京虐殺を削除するよう圧力をかけるなど、一貫して歴史修正主義の押し付けをおこなってきた。「新しい歴史教科書をつくる会」から分派した「日本教育再生機構」の常任理事も務め、「WiLL」(ワック)や「SAPIO」(小学館)などのヘイト極右雑誌に寄稿し、“日本の戦争は侵略ではなく、自衛のための戦争だった”といった趣旨の主張を繰り広げていた。さらに、2012年に「正論」(産経新聞社)3月号に寄稿した記事では、朝鮮人学校補助金にかんして〈北朝鮮および在日朝鮮人組織への一切の支援を断ち、圧力を強めるべきなのである〉と主張していた。

ようするに、小池都知事は排外主義、歴史修正主義、そして国民主権を否定する主張に賛同する輩を政務担当特別秘書に据え、側近中の側近として頼ってきたのである。

⚫︎小池百合子の排外主義・歴史修正主義思想 ヘイトスピーチ認定の団体で講演の過去も

しかし、考えてみれば、それも当然だろう。小池知事自身、野田氏と同様の歴史修正主義、排外主義の持ち主であり、それを証明するような政策を次々と打ち出してきたからだ。

毎年9月1日には関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者の追悼式典が墨田区の都立横網町公園でおこなわれているが、小池知事は2017年から「都慰霊協会が営む大法要で全ての震災犠牲者を追悼している」として式典への追悼文送付を拒否。この式典への追悼文は1974年以降、歴代の都知事たちが寄せてきたもので、数々の差別発言で知られるあのレイシストの石原慎太郎ですら送っていた。それを小池知事は拒否しつづけ、今回の都知事選でもその方針を変えていない。

しかも、小池氏は自民党衆院議員時代の2010年、ヘイト団体「そよ風」で講演をおこなっている。「そよ風」は小池知事が追悼文送付を取りやめた2017年から横網町公園内でヘイト集会を開催。ちなみに、2019年のヘイト集会では「犯人は不逞朝鮮人、朝鮮人コリアン」「不逞在日朝鮮人たちによって身内を殺され、家を焼かれ、財物を奪われ、女子供を強かんされた多くの日本人たち」「その中にあって日本政府は、不逞朝鮮人ではない鮮人の保護を」などの発言が飛び出し、東京都は2020年8月、これらの発言を人権尊重条例に基づいてヘイトスピーチであると認定している。

さらに、2016年に小池氏は韓国人学校への都有地貸与を白紙化。2022年には、朝鮮人虐殺に言及した現代美術作家・飯山由貴氏の作品に対して東京都総務局人権部が検閲、上映禁止にする事件も発生している。

そういう意味では、小池知事にとって野田氏は“排外主義・歴史修正主義”の同志でもあったわけだが、しかし、問題は、小池氏がその野田氏を口封じのために「日本最大級の水道サービス会社」トップに天下りさせていることだ。

考えてみてほしい。国民主権を否定し、排外思想を叫ぶ輩が、生命を左右する「水道」の維持管理事業を牛耳っているのだ。こんな恐ろしいことはないだろう。

側近や都の幹部の天下りを自分の政治の道具にするという“都政の私物化”はもちろん、排外主義・反人権主義者の「水道」への関与を止めるためにも、都民の審判により、小池知事を退任させるほかないだろう。
(編集部)

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