約20年ぶりとなる新紙幣発行まで1週間を切った。愛媛県内では精算機などの機器更新が進んでいるが、一部の公共交通機関などは流通が始まる7月3日時点でも未対応となる見通しだ。偽造対策が目的とはいえ、多額の対応経費支出を強いられる事態に、事業者から不満の声も聞かれる。
松山市内を中心に75カ所のコインパーキングを運営する濱商(松山市)は、2023年末から駐車料金の精算機買い替えや設置工事などの準備を進め、4月に終えた。経費は総額約4千万円という。濵本道夫社長は昨年10月に始まった消費税のインボイス(適格請求書)制度も挙げ「事業者ばかりが立て続けに負担を強いられている」と不満げ。全事業者が対象となるような補助金や融資制度を用意してほしかったとこぼした。
スーパーのフジは6月末までに、マックスバリュやマルナカなどを含め全店舗のレジ約6500台のシステム書き換え作業を終了する予定。東中予でスーパー8店舗を展開する経営者は、レジの更新時期とたまたま重なったため、新紙幣に特化した対応は不要だったが「小売店にレジは必要不可欠。新紙幣のたびに費用が発生するのは厳しい」と漏らした。