「もうついていけない」修学旅行生宿泊で赤字に…2年前予約価格から約2千円コスト増 物価高で京都の旅館ホテルが採算取れない事態に

京都で修学旅行のピークシーズンを迎え、多くの学生が訪れている。京都は修学旅行先として人気だが、物価高が影響し、受け入れ施設が赤字になる事態が発生。旅館こうろの北原会長は、2年前の予約料金では現在のコストを賄えないと話す。

物価高で…2年前当時の料金が重荷に

今、修学旅行生を受け入れれば、受け入れるほど旅館やホテルが赤字になってしまう異常事態が起きているという。

今まさに、修学旅行のピークシーズンを迎えている京都は、多くの修学旅行生で賑わっている。

修学旅行生からは「古くからの伝統が素晴らしいなって思いました」「清水寺がすごくでかかったです」「食べ物もおいしいし、神社の歴史とか知られて楽しいです」「京都最高!」といった声が聞かれた。

人生の大きな1ページを彩る修学旅行。2023年度、公立中学校が修学旅行での宿泊先として選んだ都道府県ランキング(全国修学旅行研究協会調べ 対象:関東・東海・近畿エリア)を見ると、3位の沖縄県(約8.1%)、2位の千葉県(約9.7%)を押さえて、京都府はダントツ1位で4割近く(約38.5%)を占めている。

市内の宿泊施設も大盛況で、京都市・中京区にある「旅館こうろ」は、年間の予約のうち約半分が修学旅行で埋まっているという。

「今日は何名ぐらい修学旅行生が来ているか?」という質問に、旅館こうろ・北原茂樹会長は「うちは160人ほど」と答えた。

修学旅行生を受け入れる利点について聞くと、「そりゃ、ある意味2年前にこれだけ売れているから、基本的にね」と答えた。

修学旅行の場合、2、3年前から予約が入ることや、オフシーズンに来てもらえることから、旅館としてはメリットが多いという。

しかし、今、修学旅行生の受け入れに「物価高」が大きな影を落としている。

旅館こうろ・北原茂樹会長は「従業員さんの給料払い、仕入れコスト払い、色々やっていくと、以前のような利益率が確保できないと思います」と話す。

こちらの旅館では、修学旅行生は1人当たり1万円前後で受け入れているというが、これは予約が入った2年前当時の料金で、現在では1万2000円ぐらいの価格でないと採算が取れないという。

北原茂樹会長は「いくら安い値段でも利益がでるように、料理もしっかりしたものださないといけませんからね。もうついていけないんですよ、この値上がりにね」と話す。

主要ホテルの平均客室単価は1万8199円

京都市内で、受け入れている旅館47軒の修学旅行生1人当たりの宿泊料金(2023年、1泊2食付き)は9223円で、収支を維持するには、厳しい状況だという。

一方、2023年の京都市内にある主要ホテルの平均客室単価は、京都市観光協会によると1万8199円で、修学旅行と一般客とで、大きな価格差が生じていることが分かる。

全国の旅館・ホテル業界組合を取りまとめる連合会は、2024年4月、盛山文部科学相に、宿泊施設への補助などを求める要望書を提出している。

全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会・塚島宏明さんは「訪日外国人の急増によって(ホテルの価格が)どんどん上がってる中、そこに対応できないお客さま(修学旅行生)が地域によっては、非常に大きなボリュームだと理解いただく必要がある」と指摘する。

こういった現状を受け、実際に補助金を出した自治体もある。

岩手県では2023年度、修学旅行生などを受け入れる宿泊施設に、一般的な旅行費用との差額分として一人1泊当たり2000円を支給していた。しかし、2024年度は予算の都合上、補助金は行っていないという。

連合会の塚島さんは、「修学旅行の楽しい思い出が残っていただけるっていうのが、非常に我々サービス提供するものとしては、うれしく思います。少しずつ旅行代金の条件が引き上げられていくっていうことが、最も現実的だと思う」と、今後、補助金と共にホテルや旅館の価格も値上げしてくことが必要だと訴えている。
(「イット!」 6月27日放送より)

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