【ソフトバンク】なぜ城島健司SCは突然〝有望株〟を公に表明したのか「言い方は悪いけど…」

交流戦開幕2戦目にソフトバンクの有望株について語った城島SC

何とも〝らしい一手〟だった。ソフトバンクの城島健司会長付特別アドバイザー(48)は、今季から球団肝入りのシニアコーディネーター(SC)を兼務。喫緊の課題だった若手の伸び悩み、世代交代の遅れを取り戻すべく、日米の第一線で培った見識を生かして改革に着手している。

先月末、交流戦開幕カードの巨人戦が行われた東京ドーム。第2戦の試合前練習中に城島SCは報道陣のもとへ自らやって来ると、大きな期待をかける鷹の原石について語り出した。「人の話が聞ける頭がある。野球が上手」「打つことでも守ることでも全部を覆してくれる」「将来的にはメジャーで捕手をやれるぐらいのスケール」。レジェンドが大いなる可能性に言及したのは、2022年育成ドラフト14位で入団した盛島稜大捕手(20)だった。

昨秋キャンプのウエートルームで身長187センチ、体重104キロの恵まれた体格に目を留めた。「野球界というのは実力もだけど、運も大事」。メジャーの一線級を見てきたレジェンドに、初見で運命的なものを感じさせる何かがあった。小久保監督も個別に三軍の韓国遠征の映像をチェックする際に「捕手・盛島」の資質を高く評価。王会長もファーム施設に赴き、熱視線を送った。

「いろんな縁があって、会長まで(自然と)話がいく。やっぱり彼は持ってるんですよ」

城島SCが一軍に帯同した試合で、その場にいない育成選手の名前を挙げること自体が異例だった。「会長だったり、一軍監督だったり、コーディネーターのトップが期待しているっていうのを書いてもらうことが絶対励みになる」。自身も18歳の時に紆余曲折あって王監督(当時)と運命的につながり、プロの世界に足を踏み入れた。

「(ある程度の)実力がないとそうはならないかもしれないけど、少なからずそういう(人の心を動かす)ものがないと上にはいけない」。大きくうなずきながら、盛島が持つ特別な可能性を認めた。「言い方は悪いけど、メディアを使ってでも今がタイミングだと思った」。時に予測を超える成長曲線を描く選手がいる。突き抜けようとする才能をタイムリーに後押しする明確な狙いが、異例とも言える動きの背景にはあった。

好調な一軍では小久保監督が起用面、采配面で若手の成長を後押ししている。城島流の原石磨き――。常勝再建への本気度がうかがえる。

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