「シナーとアルカラスが優勝候補だ!」フェデラーの元コーチがウインブルドン男子頂上対決を展望!<SMASH>

四大大会で20度の優勝を誇る男子テニス元世界1位のロジャー・フェデラー氏(スイス/42歳/2022年引退)の元コーチであるイバン・リュビチッチ氏(クロアチア/45歳)が、イギリスのスポーツメディア『Sky Sports』のインタビューに登場。間もなく開幕する今季3つ目の四大大会「ウインブルドン」(7月1日~14日/イギリス・ロンドン/芝)の展望を語った。

140年以上もの歴史と伝統を誇る聖地ウインブルドン。今年も男子シングルスは前回大会王者のカルロス・アルカラス(スペイン/世界ランク3位)や、同大会7度優勝のノバク・ジョコビッチ(セルビア/同2位)、1月の全豪オープンで四大大会初優勝を成し遂げたヤニック・シナー(イタリア/同1位)など豪華なラインナップとなっている。

また、元世界王者で同大会2度優勝のアンディ・マリー(イギリス/現115位)は、今大会が現役ラストマッチとなることが予想されており、注目ポイントも目白押しだ。

ウインブルドンで史上最多の8度の優勝を経験しているフェデラー氏を指導したリュビチッチ氏は、先の全仏オープン(フランス・パリ/クレー)で四大大会3勝目を挙げた21歳のアルカラスと6月に新王者となった22歳のシナーを今年の優勝候補に挙げる。

その中で同氏は前週の「テラウォルトマン・オープン」(ドイツ・ハーレ/ATP500/芝)で世界1位になってから、初めてのツアー優勝を手にしたシナーについて、人間性の素晴らしさに触れながらこう評した。
「シナーは若者にとって素晴らしい模範だと思う。他の選手がそうではないというわけではないが、彼は物事の進め方が独特だ。勝っても感情的にならないし、負けてもそこまでドラマチックな感じにはならない。彼は自分の仕事に専念し、自分の言ったことをしっかりと実行する。彼の最大の才能はそうやって自分のやるべきことをやれる点であり、ありのままの姿が今後も彼を大きな高みに導くだろう。彼は世界1位になって初めての大会で優勝したばかりだが、それに加えて今は多くの大会で優勝している」

続けてルビチッチ氏はクレーコートから芝のコートに移行する間にアルカラス、シナー、ジョコビッチの3トップを取り巻く状況が色々と変化したとし、次のように自身の考えを口にした。

「ウインブルドンはすでにシーズンの折り返し地点だ。フェデラーはハーレ大会(テラウォルトマン・オープン)を制してからも多くの勝利を収めた。今度はシナーがそうなるのかどうかだ。全仏オープンの前は、アルカラス、シナー、ジョコビッチに関して言えばフィジカル面で多くの疑問があった。ジョコビッチのプレーは良かったが、試合のリズムをつかめていなかった」

「だが、今では全ての状況が(その時とは)異なる。シナーとアルカラスが好調で本命視されている。ジョコビッチは右ヒザの手術を受けたが、ウインブルドンには出るつもりでいる。とても素晴らしい大会になるだろう。でも今のところは、シナーとアルカラスが優勝候補だと思う」

果たして今年のウインブルドン男子シングルスはルビチッチ氏の予想通りになるのか、それとも新たな刺客が現れるのか。その結末が楽しみだ。

文●中村光佑

© 日本スポーツ企画出版社