猛暑に備えて「ゾクッと」冷活!Netflix『不可解事件ファイル』はタイパ抜群の“サク怖”ドキュメンタリーシリーズ【オカルト】

Netflix『不可解事件ファイル』独占配信中

夏の涼といえば? そう、怖い話!

ここ数年で“意味が分かると怖い話”が一定のブームを見せているが、そのジャンルは絵画や間取りなど様々に広がり、小説やマンガ、映画など多くのフォーマットで人気を集めている。

そして、怖い話=夏の風物詩という考えは日本にとどまらず、あらゆる国でサマーシーズンにはホラーやスリラー映画が公開される。本格的な夏はまだまだこれからだが、すでに猛暑日が相次いでいる今年、涼の先取りという意味でも紹介したいドキュメンタリー作品がある。

Netflixのショートドキュメンタリー『不可解事件ファイル』は全8話、各30~40分の観やすさで、自宅でサクッと冷活するのに最適なシリーズだ。

「宇宙人に誘拐された」親子の証言は本当か?

第1話「パスカグーラUFO拉致事件」は、1970年代に米ミシシッピ州パスカグーラで起こった<宇宙人による拉致事件>を改めて紹介する。被害を訴えたのは、同地で暮らしてきたある親子だ。

大きな頭部と眼、ハサミ状の腕を持ち、体全体が銀色……これらの特徴から、70年代に起こった第1次オカルトブームには彼ら親子の体験~証言が強く反映されていることがわかる。第2次ブームが起こった90年代のムック本などでも、ほとんど更新されないまま載っていたことが思い返されるが、やはりいま観ても凄まじいインパクトだ。

時代が10年遅ければ、これほどメディアに取り上げられることもなかったかもしれない。サイケ・ムーブメント全盛の時代、LSD等の影響による幻覚という可能性も捨てきれないだろう。しかし親子揃って生涯、その証言をビタイチ曲げていないという事実に異様な説得力があるのも事実である。

愚かしき人種差別が生んだ“霊が出る”ホテル

続く「マートルズ農園の幽霊」はその副題どおり、いわゆる心霊スポットが紹介される。“スマホ撮影によるガチの心霊写真”が生々しく登場するので、苦手な人は要注意だ。

米ルイジアナ州バトンルージュにある同農園は、現在もツアー客などで賑わう現役バリバリの心霊スポット。しかし、この農園の特徴は“いわくつき”がほぼ後付けのもので、先に心霊現象があったというのが興味深い。数十年前から心霊スポットではあったものの、その原因はいまだはっきりと証明できていないのだ。

つまり、あまりにも不可解な現象が起こるため、土地や建物、代々の所有者たちの暗黒史を深読みせざるを得なかったということなのだろう。築100年超の家屋が多く残されている国だからこそのエピソードではあるが、このホテルが“元農園”であることから自然と人種差別の歴史につながっていく。

多くの黒人奴隷が搾取され命を落とした場所をホテルにし、しかも召使いの怨霊だなどと喧伝しツアー客を募るのは祖先への冒涜だと訴える人は多く、その意見はもっともだ。しかし、同地においては奴隷史を伝える数少ない貴重な資料でもあり、心霊云々とは関係なく得られるものの多い場所とも言えるだろう。

謎多き集団失踪、政府とUFO、呪われた湖、ゼリー雨の謎……

「オカルト盛り合わせ」とでも言うべき同シリーズは他にも、田舎町で5人の男性が同時に失踪した事件を追う「ユバ郡5人失踪事件」や、知らぬ間に体内に埋め込まれた“謎の物質”がアメリカ政府の極秘ファイルにつながっていく「政府のUFO陰謀論」といった定番ものをはじめ、オカルト好きならばイッキ観してしまうであろう興味をそそるテーマが続く。

また、湖底から何者かに足を引っ張られ溺死する人が続出しているという「ラニア―湖の呪い」や、ヒトの介入を許さない恐るべき霊山の歴史を追う「シャスタ山の謎」といった、現在進行系のスピリチュアルなテーマも興味深い。

さらに、北西部の田舎町に振った“ゼリー状の雨”に隠された国家機密に迫る「ワシントン州の奇妙なブロブ」は政府や軍の異様な執着に戦慄するし、海岸に漂着した何十本もの“人間の足”の怪異を再検証する「セイリッシュ海に浮かぶ足」は、生きづらい世の中と人間の哀しみも漂わせる。

同シリーズは今年4月、Netflixの超話題作『三体』などと並んで視聴ランキング上位に入ったことでも話題になった。本当にサクっと完走できてしまうタイトさなので、7~8月の猛暑に備えて鑑賞リストに入れておこう。

Netflix『不可解事件ファイル』独占配信中

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