中国で構築進む華為OS中心のエコシステム、西側技術依存脱却へ

David Kirton

[深セン 28日 ロイター] - 中国では、通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)が開発した独自基本ソフト(OS)「鴻蒙(ハーモニー)」がグーグルのOS「アンドロイド」やマイクロソフトのOS「ウィンドウズ」に取って代わる形で、新たなソフトウエアのエコシステムを立ち上げる動きが官民共同で一貫して進められている。

ファーウェイは5年前、米国の制裁によってアンドロイドのサポートが打ち切られた後、ハーモニーOSを導入。このオープンソース部分に当たる「オープンハーモニー」を使った各種ソフトウエアの開発を当局や企業、ハードウエアメーカーらに呼びかけているのは、深セン市傘下の団体、ハーモニー・エコシステム・イノベーション・センターだ。

同センターには、小さな部屋に詰め込まれたドローン、二足歩行ロボット、スーパーマーケットのレジ、その他のデバイスにオープンハーモニーが搭載される中国のソフトウエアの未来像が展示されている。

多くの中国企業がシステム構築の面でもはやアンドロイドやウィンドウズに依存できなくなるのではないかと懸念する中で、オープンハーモニーは「国家的OS」として国内で広く喧伝されつつある。

米ジェームズタウン財団のアソシエートフェロー、サニー・チャン氏は「この戦略的な動きによって中国では国産製品の勢いが増し、アンドロイドやウィンドウズなど西側のOSの市場シェアは浸食される公算が大きい」と述べた。

ファーウェイはオープンハーモニーのソースコードを開放原子開源基金会(オープンアトム・ファウンデーション)に譲渡していて直接コントロールできない。

しかし深センのイノベーションセンターや政府文書はしばしば、より幅広いハーモニーのエコシステムの一環としてオープンハーモニーとハーモニーOSを互換可能な形で言及している。

複数のアナリストは、今年か来年にはパソコン向けが投入されるハーモニーOSの成長は、オープンハーモニーの普及を加速させるだろうと予想した。

調査会社カウンターポイントによると、中国国内で今年第1・四半期に販売されたモバイル端末向けOSのランキングでハーモニーOSはアップルの「iOS」を抜き、アンドロイドに次ぐ第2位に躍り出た。

ハーモニーOSは元来、アンドロイドのオープンソース部分に依拠して開発されたものだが、ファーウェイは今年、アンドロイドベースのアプリを一切サポートしない「純正」タイプのハーモニーOSを初めて投入し、中国のソフトウエアのエコシステムを西側や他の地域からさらに切り離そうとする姿勢が浮き彫りになった。

一方、ジェームズタウン財団は先月まとめたリポートで、中国企業が人工衛星などの分野で米国の技術を代替できる製品を開発する取り組みにおいて、開放原子開源基金会が調整役を担っていると分析した。

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