YouTube、AI訓練の楽曲使用につき大手音楽レーベルと交渉中。可否はアーティスト次第か

Image:Muhammad Alimaki/Shutterstock

昨年YouTubeはGoogle Deepmindと共同で音楽生成AIモデル「Dream Track for Shorts」を発表していた。それに続き、大手音楽レーベル各社とAI学習用に楽曲の利用を認めてもらうため、ライセンス料の支払いを提案していると報じられている。

英Finaicial Times報道によると、交渉相手はソニー・ミュージックエンタテインメント、ユニバーサル ミュージック グループ、ワーナー・レコードの3社。YouTube側は「まとまった現金」を申し出ているというが、参加するかどうかは各アーティスト次第とのことで、各企業が最終的な決定権を持つことはないようだ。

YouTubeは取材に対し、開始時点で10組のアーティストが参加した「Dream Track for Shorts」の対象を拡大する予定はないが、「他の実験についてレーベルと話し合っている」と認めた。今年後半に始めるAIツールの訓練につき「数十人」のアーティストからライセンスを得ることを目指しているという。

多くのミュージシャンは、AIが自分たちの楽曲に似通ったものを作ることを快く思っていない。昨年4月にも、200人以上が「プロのアーティストの声や肖像を盗み、クリエイターの権利を侵害し、音楽のエコシステムを破壊するAIの略奪的な利用から守らなければならない」との公開書簡に署名していた

おりしも上記の大手レコードレーベル3社も、著作権で保護された楽曲でAIを訓練する企業に対し、訴訟を起こしたばかりだ。ソニー、ユニバーサル、ワーナーは音楽生成AIのSunoとUdioを「大量の」著作権侵害をしたとして、今後のコンテンツ使用差し止めと、1曲につき最高15万ドルの支払いを求めている。

この少し前に、ソニーは自社コンテンツの「無許可使用」につき700以上のAI企業に警告。ユニバーサルは生成AIからの保護が不十分だとしてTikTokとのライセンス更新の交渉が決裂し、同レーベルの楽曲がプラットフォームから一斉に削除された。YouTubeはこれらの動きから、先手を打ったのかもしれない。

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