本来は4人なのに… “オランダ独自基準”でパリ五輪派遣は1人だけ

“独自基準”のオランダ。飛ばし屋のアン・バン・ダムだけが五輪代表に選出された(撮影:GettyImages)

6月24日に発表された世界ランキングに基づき、各国・地域のパリ五輪女子ゴルフ競技代表選手が決定。オランダは世界ランキング108位、五輪ランキング34位のアン・バン・ダムと、世界ランキング302位で五輪ランキング58位に入ったデウィ・ウェーバーの2人が選出された。ウェーバーのもとには祝福のメッセージが押し寄せたが…。オランダゴルフ連盟はウェーバーの五輪派遣を行わないことを決定した。

オランダはすべての競技に「現実的にトップ8に入れる可能性がある選手を派遣する」という独自の基準を設けている。すでに男子のオランダ代表に選出されていた2選手、世界ランキング148位のヨースト・ルーテン、同242位のダリウス・バン・ドリエルの派遣も見送るという。

オランダゴルフ連盟はIOC(国際オリンピック委員会)の五輪選考基準には反対で、リオ五輪から独自の選考を採用。女子は五輪ランキング24以内、男子は27位内に設定している。リオ五輪に出場したルーテンは27位に入り、東京五輪ではバンダムだけが基準をクリアして57位だった。

パリ五輪ランキングでは全員が選考基準に届かなかった。ただし、五輪ランキング59位内の選手が国際レベルの大会で上位8位内に入った場合は基準をクリアするとし、11月の欧州女子ツアーで2位に入ったバン・ダムだけをパリに派遣することを決めた。

この決定に、DPワールド(欧州)ツアーで6勝を挙げているルーテンは不満をもらしている。東京五輪で銀メダルを獲得したスロバキア代表のローリー・サバティーニは、世界ランキング100位外だったことを挙げて「基準は拡大するべき。もっと多くの選手にチャンスが生まれる」と選考基準を批判。ウェーバーは自費での参加を訴えたが、オランダゴルフ連盟は認めなかった

ルーテンらの直訴により「今後は基準を改める可能性もある」というオランダゴルフ連盟だが、パリ五輪への派遣基準は変えないとした。(文・武川玲子=米国在住)

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