主要ポスト少なく異色の経歴 畝本次期検事総長の手腕に注目

 畝本直美東京高検検事長(61)の次期検事総長への起用が28日、決定した。歴代検察トップが経験した主要ポストにほとんど就いていない異色の経歴。抜てきの背景には、同年代の総長候補の早期退職や女性登用への期待などもあったとされる。捜査での不適切な取り調べの発覚や、元大阪地検検事正の逮捕など、検察に注がれる視線は依然厳しく、組織運営の手腕が早速問われそうだ。

 畝本氏は東京地検を振り出しに名古屋地検などで現場経験を重ね、法務省の民事局や秘書課、司法法制部でも勤務した。その後、法務省刑事局公安課長や保護局長などを経て、最高検の三つの部長を歴任し、広島高検検事長から東京高検検事長に就いた。

 歴代検事総長は法務省刑事局長や法務事務次官、東京地検検事正といったポストを経るのが通例だ。畝本氏はいずれにも就いておらず、年の近い辻裕教元仙台高検検事長(62)が総長候補の本命と目されていた。

 だが、辻氏は「定年延長」を巡る対応で事実上失脚。こうした経緯などから、安定感に定評のあった畝本氏が抜てきされたもようだ。

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