カミラ・カベロが語る新作アルバム『C,XOXO』:新たな側面を示し“ビッチ”を演じた作品

カミラ・カベロ(Camila Cabello)が、2024年6月28日に4枚目のアルバム『C,XOXO』(読み:シー,エックス・オー・エックス・オー)を発売した。

レーベルを移籍して初めてリリースするアルバムには、リル・ナズ・X、シティ・ガールズのJTとヤング・マイアミ、ドレイク、プレイボーイ・カーティといったラッパー達が参加した1枚となっている。

このアルバムについて、カミラ・カベロ自身が語る最新バイオの日本語訳を掲載

新たな側面を示すアルバム

カミラ・カベロは彼女が覚えている限り、ノートやアプリのNotesを埋め尽くすほどの歌詞を書いてきたという。カミラはこう語る。

「ツアー中、私はホテルのバスルームにこもって(音楽制作ができるソフトウェアである)GarageBandを開いて、自分一人で書いていたんです」

時が経つにつれて、彼女は信頼できるコラボレーターや共作者たちを迎え入れ、彼らはカミラの作曲制作の手助けを行った。しかし楽曲の制作の根本については、彼女は自身で行っていた。

「(共作者はいるけど)だけど、私にとってソングライティングはいつだって、どちらかというとより個人的で、親密なプロセスでした」

そうした一人での楽曲制作の情熱は、1年以上前に再燃し、彼女は通算4枚目のスタジオアルバム『C,XOXO』を生み出す旅にでることになった。このアルバムは、推進力を持った音楽と、多岐にわたるテーマの歌詞からなる、人間として、パフォーマーとして、ソングライターとして、そしてアーティストとしてのカミラ・カベロの新たな側面を示すアルバムとなっている。彼女はこう言う。

「以前は、『プロジェクト全体をこういう形で進められる』なんて自信は持てていなかったと思います。でも、このアルバムは私の創造力を最も純粋に表現したもののように感じています」

故郷マイアミと新作

新作アルバム『C,XOXO』は、ロザリアやJ.バルヴィンらとの仕事で知られるプロデューサーのエル・ギンチョと、リル・ナズ・X、テイト・マクレー、ジャック・ハーロウらとの作品で知られるジャスパー・ハリスによって命を吹き込まれた。アルバム全体の制作を通して彼女を支えた彼らについて、カミラは「大黒柱にして信頼できる仲間であり、私の嗜好を広げてくれた人たち」と呼ぶ。

アルバムでは、ラップの精緻な言葉遊びから受けたインスピレーションを、カミラが敬愛する音楽作家たちのルーツにあるプロダクションと組み合わせることで、ハードとソフトをミックスさせたエクスタシーが生み出されている。サウンドが最大化される箇所では、ソングライティングが独自性を持ったものになり、ジャスパー・ハリスとエル・ギンチョが音を削ぎ落とすところでは、カミラのフロウとストーリーテリングが新たな高みに到達する。

サウンド面では、地元マイアミのアイコンであるシティ・ガールズのJTとヤング・マイアミの二人がゲスト出演する「Dade County Dreaming」から、瞬きすると見逃してしまうようなアルバム後半の傑出した「B.O.A.T.」におけるピットブルの「Hotel Room Service」の挿入まで、彼女の故郷であるマイアミに浸ったアルバムにもなっている。

「ここ(地元であるマイアミ)に再び根を張ることが私にとって重要だと感じたんです。私の音楽の多くは常に“北キューバ”と呼ばれるものに影響されてきたけれど、このアルバムではとりわけ、私が人生を通して聴いてきたサウンドに焦点を当てています。ここではワークアウトの教室へ行くと、それはクラブへ行くような感じ。ラップに、ダンスに、レゲトン。そのすべてが紛れもなく私のあらゆる芸術的な側面に影響を与えているんです」

新作『C,XOXO』が伝えるのは、カミラ・カベロの現在の物語だ。都市部と仕事場を行き来する数年間を経て、27歳になった彼女は故郷マイアミで幼馴染と再会し、家族や故郷、そして自身の人生に再び包まれている。

この新作アルバムを動かしているのは、北極星となって、彼女を正しくて、奇妙で、チャレンジングで、これまでにやったことがないような他にはない道へと導いた「June Gloom」や「pretty when i cry」のトラックや歌詞、プロダクションだ。そこでは失恋や裏切り、その後の自己愛や自信の再生が深く掘り下げられている。その一方で、「HOT UPTOWN (feat. Drake)」や「HE KNOWS (feat. Lil Nas X)」のような、窓を全開にして楽しむ爆発的で楽しい楽曲も同様に存在している。

ビッチでハイパーフェミニンというキャラを演じる

カミラにとって、この新作の制作が始まったのは「Chanel No.5」を書いたときだった。この曲を書いたことは、彼女自身が「これも私なんだけど、みんなは初めて知ることになる私の一面!」という「ビッチでハイパーフェミニン」な「キャラクター」を発見する助けになった。そしてそのキャラクターは、威勢のいい自信と、胸を割くような脆さの間を揺れ動きながら、ハードとソフトのバランスをうまく保っている。

「このアルバムを聴くことで、みんな私についてたくさんのことを知ることになると思うんです。これは私なんだけど、必ずしも私のすべてじゃない。このアルバムは私の一部であり、自分が心から楽しめる特定のエネルギーを使っている。ヴィランのオリジン・ストーリーのようなものかも。私たちが時々こういうキャラクターを選択するのは、自分たちの人生にそういうエネルギーをもっと欲しているからだと思います。自分のことは基本的には優しい人間だと思っているけど、そういう少しの意地悪さと暗さを受け入れることは、自分のバランスをとる上で健康的なことだったかなって」

そのキャラクターは物理的にもカミラの生活に根付きつつある。26年間彼女のトレードマークだったブルネット(黒髪~栗色)の髪ではなく、今年の初めにリード・シングル「I LUV IT (feat. Playboi Carti)」をリリースする直前、新しくブリーチされたブロンドの髪で登場して、インターネットを驚かせたのだ。

「このアルバムで、私は自分のパレットを一新しようとしたんです。ポップの世界にいる1人として、そしてポップの1人のファンとしても、驚かされたいという気持ちがある。何かしらの驚きがあってほしいって。たとえ良い音楽があっても、煌めきや驚きの要素がなければ、それほど楽しくない。私もファンの1人だから、常にファンとして考えようとしています。“全部大文字で『OH MY GOD!』って綴りたくなるようなものなんだろう?”、“どうすればみんなをワクワクさせられるだろう?”っていう視点から考えるのが好きなんです。音楽からビジュアルまで、それが私のやろうとしていること。楽しさを取り戻したいんです」

豪華ゲストとソングライティングへの強い想い

コラボレーションに慣れているカミラは、『C,XOXO』で自身のユニバースを広げて、ピンクパンサレスやKoshiことBLP KOSHERによるインタールード、リル・ナズ・X、シティ・ガールズのJTとヤング・マイアミ、ドレイク、そしてプレイボーイ・カーティとのデュエットを含む、多くのスーパースターをゲストとして今作に迎え入れている。

「このアルバムにはたくさんの歌声を入れたかったんです。音楽として刺激的になるし、それだけでなく、こうしたコラボレーションが私のエネルギーを解放してくれるのがすごく良かった。若い頃にこの業界に入った時は、周囲から守られていたところもあったけど、大人になった今、自分がファンで、一緒にスタジオに入ってみたいと思う人たちに連絡してみたくなったんです。アーティストって孤独になりがちですが、コラボレーションが持つエネルギーという点では、音楽は最高だと思うんです」

『C,XOXO』の制作を通して、ソングライティングで“伝える”のではなく、“見せる”方法を学んだとカミラは言う。

「このアルバムを作る中で気が付いたのは、最高のソングライティングって、何をどう感じるべきかを人々に伝えるのではなく、ただ見ただけでわかるっていうものなんです。それが私の指標になりました。ソングライティング以上に私に喜びをもたらしてくれるものはない。視覚的な世界を創ったり、パフォーマンスしたりするのも大好きだけど、このアルバムを聴けばわかってもらえるはずって思うのは、私が人生で本当に情熱を捧げているのはソングライティングで、この作品で成し遂げたことをこれ以上にないくらい誇りに思っているということなんです」

Written by uDiscover Team

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