新卒入社ですが、毎日「終電帰宅」です。退職を考えていますが、貯金がないので「失業手当」をもらえるまで最低1年は我慢すべきでしょうか? 営業部で残業は多めです…

失業手当の仕組み

失業手当の仕組みと相談の新卒社員の状況について紹介します。

失業手当は雇用保険の被保険者が定年、倒産、契約期間の満了などで離職した場合に失業中の生活の安定の為に給付されるものです。給付を受けるためには次の条件があります。

__・ハローワークで求職申し込みを行い、積極的に転職活動をしている
・離職前の2年間に雇用保険に通算12ヶ月以上加入している__

今回相談の新卒社員は雇用保険加入期間が12ヶ月に満たない状況です。

ただし、特定受給資格者といい、会社の倒産や解雇、ハラスメントがひどい場合や、労働条件が過酷な場合などは雇用保険に12ヶ月間加入(離職前の1年間に6ヶ月雇用保険に加入していればよい)していなくても、受給資格が得られることもあります。しかし今回のケースでは確実に該当するとはいえない部分があります。

続いて支給の上限額と下限額を見てみましょう。

・30歳未満 6945円
・30歳以上45歳未満 7715円
・45歳以上60歳未満 8490円
・60歳以上65歳未満 7294円
・下限額はいずれの年代も2196円
・支給日数は90日から330日

正確な支給額と日数はハローワークで確認することが必要ですが、おおむね前職の賃金の5~8割程度になります。また、自己都合による退職では支給までに最短でも2ヶ月以上かかります。

失業手当は必ず必要? お金から考える選択のポイント

今回の相談で、会社で働き続け退職後に失業手当を受け取る事が有利に働くのでしょうか? 選択のポイントを挙げてみます。

__・失業手当が受給できるまで期間がある可能性が高い
・失業手当は就業中よりも収入は少ない
・終電帰宅で心身の負担が大きい
・貯金がない__

相談を受け最初にアドバイスしたのは、失業手当をあてにしすぎない事と、新卒とはいえ、早めの転職活動をすることです。心身の状態としても現職で無理に仕事を続けることは良くありませんし、貯金がないため失業手当が受給できるまで待つよりもすぐに収入があった方が生活に有利なためです。

有休が付与されていれば早く転職先が決まれば休養に充てることもできます。そして念のため、ハローワークに特定受給資格に該当するか相談することもすすめています。さらには最低1年になるまで我慢して失業手当を受給する場合に備えて貯金や家計の見直し方法もアドバイスしました。

まとめ

今回相談の新卒社員は、まずは1年間、現職で働きつつ並行して就職活動をする事になりました。良い就業先があればすぐに転職し、みつからなければ就業手当の受給を検討する方向とのことです。 また職場に確認したところ1年後には部署の異動の可能性があることが分かりました。

相談したことで、さまざまな可能性がみえてきて良い方向へ向かいつつあるケースでしたので参考になればと紹介させていただきました。

出典

ハローワークインターネットサービス 基本手当について
ハローワークインターネットサービス 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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