外国人宿泊数は京都のわずか50分の1 滋賀、インバウンド誘致へ琵琶湖や「水」アピール

滋賀県庁

 インバウンド(訪日客)観光需要が伸び悩む滋賀県は本年度、県内の日本遺産を巡る訪日ツアーの誘致に本腰を入れる。民間旅行会社にツアー造成を委託し、各事業者が年度内に販売開始することを目指す。来年に控える大阪・関西万博では関西圏で訪日客の増加が見込まれるが、県は昨年の外国人宿泊数が関西2府4県で最も少なかった。滋賀ならではの「水の文化」を体感できる滞在型の観光コンテンツなどを強化し、宿泊客の取り込みを目指す。

 県が支援するのは、富裕層や高付加価値な体験を求める旅行客をターゲットにした訪日客向けツアーの造成。白鬚神社、近江八幡の水郷、竹生島など、文化庁認定の日本遺産「琵琶湖とその水辺景観」を構成する名所を盛り込み、宿泊や長期滞在につながるツアーを想定している。

 びわこビジターズビューロー(大津市)を通じてツアー事業者を選定した上で、モデルツアー実施などを補助し、各事業者が自力でビジネス化することを目指す。本年度当初予算に1200万円を充てた。

 県によると、新型コロナウイルス禍で落ち込んだ県内の訪日客需要は回復が遅れている。23年の外国人延べ観光入り込み客は約45万人で、コロナ禍前の19年比で約3割減にとどまった。観光庁の宿泊旅行統計(23年速報値)を見ても、滋賀県の外国人延べ宿泊数は約25万泊と関西2府4県で最も少なく、京都と比べ50分の1の水準。滋賀は知名度の低さなどから取り込みに苦戦しているのが現状だ。

 一方、万博に向けては関西の一部に訪日客が集中するオーバーツーリズムが懸念される。日本旅行業協会は「万博開催と同時に京都などには間違いなく外国人が押し寄せるため、周辺に分散化することが大きなテーマ。滋賀や奈良、兵庫を含む広域で受け入れ体制をつくる必要がある」と指摘している。

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