最新作「007/ノータイム・トゥ・ダイ」初放送記念!ダニエル・クレイグ主演5作品を一挙放送!!

スパイ映画の代名詞「007」シリーズの最新作「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」がBS10 スターチャンネルに初登場。それに合わせて、7月のスターチャンネルでは同作を含むダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンド映画5作品が一挙放送される。そこで今回は、スパイ映画マニアのベテラン映画ライター、なかざわひでゆきが歴代ジェームズ・ボンド俳優たちの変遷を振り返りつつ、ダニエル・クレイグが演じた6代目ボンドの魅力を独自の視点でひもといてみた。

異なる個性でシリーズに新鮮さを与えてきた歴代ジェームズ・ボンド俳優

イギリスの作家イアン・フレミングが生み出した英国諜報部MI6のトップエージェント、ジェームズ・ボンド(コードネームは007)。名門オックスフォード大学卒業の明晰な頭脳と、あらゆる格闘技をマスターした比類なき身体能力を持つすご腕スパイ。そんな無敵のシークレットエージェントが、国際的な巨大犯罪組織の陰謀に次々と立ち向かっていく。スクリーンでのジェームズ・ボンド初登場は、記念すべきシリーズ第1弾「007/ドクター・ノオ」(1962年)だ。同作は年間世界興収ランキングで第2位という大ヒットを記録し、おのずとシリーズ化されることも決定。そのうえ、時ならぬ空前のスパイ映画ブームが巻き起こったのである。

以降、これまでに6名の俳優がジェームズ・ボンド役を演じてきた。初代ショーン・コネリー、2代目ジョージ・レーゼンビー、3代目ロジャー・ムーア、4代目ティモシー・ダルトン、5代目ピアース・ブロスナンと、一口にジェームズ・ボンドといっても、演じる俳優によって異なる個性が発揮され、そのたびに新鮮な魅力をシリーズに与えてきた。

ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの魅力とは?

そして、シリーズ第21弾「007/カジノ・ロワイヤル」(2006年)で初登板したのが6代目ボンド俳優ダニエル・クレイグ。時として冷徹さすら感じるタフで寡黙な佇まいと、筋骨隆々の肉体は、それまでのジェームズ・ボンドにはなかった魅力だ。一方で、本気で愛した女性のことを一途に想い続けるロマンチストという新たな一面も持ち、極めて人間的なジェームズ・ボンドとなった。

また、作品ごとのストーリー的な関連性が強くなったのも、ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンド映画の特徴であろう。そもそも、「007/カジノ・ロワイヤル」自体が過去作品の設定を一旦リセットしており、007のコードネームを与えられたばかりのジェームズ・ボンドの活躍を描いたオリジン的な物語となっている。では、公開順にダニエル・クレイグ出演の各作品の魅力を紹介していこう。

「007/カジノ・ロワイヤル」(2006年公開)

ダニエル・クレイグ演じる6代目ボンドの初登場作。殺しのライセンス「00(ダブルオー)」を取得したMI6諜報員のジェームズ・ボンドは、世界中のテロ組織を資金面で支える謎の男ル・シッフルを追ってバハマやマイアミなど各地を奔走。その結果、多額の資金を損失したル・シッフルが、モンテネグロの高級カジノ「カジノ・ロワイヤル」のポーカーゲームに参加すると知ったボンドは、ル・シッフルの資金稼ぎを阻止するべく財務省から派遣された監視役ヴェスパーと共に現地へ向かう。

水の都ヴェネチアを舞台に、崩れ落ちる建物の中で展開するクライマックスの格闘アクションは圧巻! 緊迫するポーカーゲームの面白さも然ることながら、以降のシリーズ作品でも重要な要素となるヴェスパーとの宿命的なロマンスも要注目だ。そのヴェスパー役のエヴァ・グリーン、宿敵ル・シッフル役のマッツ・ミケルセンは本作をきっかけに世界的なトップスターとなった。

【番組情報】

映画「007/カジノ・ロワイヤル」(2006年・米=英)
【字幕】スターチャンネル
7月6日 午前11:00~午後1:27
7月22日 午後8:30~午後10:57

【吹替】スターチャンネル
7月8日 午後6:20~午後8:46

監督/マーティン・キャンベル
出演/ダニエル・クレイグ/小杉十郎太(吹替)/エヴァ・グリーン/岡寛恵(吹替)/マッツ・ミケルセン/中多和宏(吹替)/ジュディ・デンチ/此島愛子(吹替)/ジェフリー・ライト/ 辻親八(吹替)ほか

「007/慰めの報酬」(2008年公開)

最愛の女性ヴェスパーを失って復讐(ふくしゅう)に燃えるジェームズ・ボンド。鍵を握る人物ミスター・ホワイトの背後にいる組織を探るのだが、相手はMI6内部にもスパイを潜入させているほどの巨大組織だった。手掛かりを求めてハイチへ向かったボンドは、そこで知り合った謎の女性カミーユに協力を得て、表向きは環境保護活動に力を入れているNPO代表ドミニク・グリーンをマークする。

世界的に水資源の枯渇が危惧される昨今、水資源の利権をめぐる陰謀というタイムリーなテーマを扱った作品。フランスを中心に活躍していたウクライナ人女優オルガ・キュリレンコは、本作のカミーユ役を機にハリウッドでも引っ張りだことなる。悪党グリーン役にはフランスのトップ俳優マチュー・アマルリック。イタリアの古都シエーナを縦横無尽に駆け回る激しいカーチェイスも見どころだ。

【番組情報】

映画「007/慰めの報酬」(2008年・英=米)
【字幕】スターチャンネル
7月6日 午後1:45~午後3:33
7月23日 午後9:00~午後10:48

【吹替】スターチャンネル
7月9日 午後6:30~午後8:18

監督/マーク・フォースター
出演/ダニエル・クレイグ/小杉十郎太(吹替)/オルガ・キュリレンコ/佐古真弓(吹替)/マチュー・アマルリック/家中宏(吹替)/ジュディ・デンチ/此島愛子(吹替)/ジェフリー・ライト/ 辻親八(吹替) ほか

「007/スカイフォール」(2012年公開)

トルコでの極秘任務でMI6の仲間を殺され、自身も味方の誤射で川へ転落して行方不明になったジェームズ・ボンド。その結果、各国のテロ組織に潜入する味方スパイのリストが流出してしまう。さらに、上司Mのパソコンがハッキングされたうえ、MI6本部が爆破テロに遭うという異常事態まで発生。九死に一生を得て生還したボンドは、どうやらMに個人的な恨みを持つらしき敵の正体を探る。

冒頭からショッキングな展開の連続で、思わず手に汗を握ってしまう作品。今作ではジェームズ・ボンドと上司Mの疑似親子的な関係性に焦点が当てられている。Mの秘書マネペニーや秘密兵器担当Qなど、旧作でも親しまれたお馴染みのキャラクターが本作からイメージを刷新して再登場。また、「ノーカントリー」(2007年)の冷徹な殺し屋役でアカデミー助演男優賞に輝くハビエル・バルデムが、ここでも復讐の鬼と化した悪役で強烈な印象を残す。アカデミー賞の歌曲賞(アデル)と音響効果賞を受賞。

なお、劇場公開時に画面の上下を黒帯で隠した横長サイズで上映された本作だが、今回はその黒帯を外したオープンマットのフルスクリーン版も併せて放送。劇場版で見えなかった部分まで見えるのはお得感がある。

【番組情報】

映画「007/スカイフォール」(2012年・英=米)
【字幕】スターチャンネル
7月6日 午後3:45~午後6:09
7月24日 午後8:30~午後10:54(フルスクリーン版)

【吹替】スターチャンネル
7月10日 午後6:30~午後8:54

監督/サム・メンデス
出演/ダニエル・クレイグ/藤真秀(吹替)/ハビエル・バルデム/内田直哉(吹替)/ジュディ・デンチ/谷育子(吹替)/ナオミ・ハリス/杉本ゆう(吹替)/レイフ・ファインズ/原康義(吹替) ほか

「007/スペクター」(2015年公開)

凶悪犯スキアラを追ってメキシコで派手な大立ち回りを演じたジェームズ・ボンドは、新任Mから謹慎処分を言い渡されてしまう。しかし、これは亡き前任Mの遺言に従った作戦だった。無断でイタリアへ向かった彼は、スキアラの未亡人ルチアを介して秘密組織スペクターの存在を知り、ミスター・ホワイトの娘マドレーヌの協力でスペクターの秘密基地へと乗り込むのだが…?

いよいよ悪の組織スペクターがその全貌を現すとともに、ボンドの知られざる生い立ちも明らかとなる作品。もちろん、アクションシーンの見せ場も手抜かりはなく、中でもメキシコの「死者の日」のパレードを舞台にした冒頭のスペクタクルなパニックアクションはシリーズ屈指の迫力だ。過去作でもさまざまな俳優が演じたスペクターのボス、ブロフェルド役には2度のアカデミー助演男優賞に輝く名優クリストフ・ヴァルツ。ヒロインのマドレーヌをレア・セドゥが演じるほか、未亡人ルチア役にイタリアの大女優モニカ・ベルッチを起用したことも話題になった。アカデミー賞の歌曲賞(「Writing on The Wall」サム・スミス)を受賞。

【番組情報】

映画「007/スペクター」(2015年・英=米)
【字幕】スターチャンネル
7月6日 午後6:15~午後8:45
7月25日 午後8:15~午後10:45

【吹替】スターチャンネル
7月11日 午後6:30~午後9:00

監督/サム・メンデス
出演/ダニエル・クレイグ/藤真秀(吹替)/クリストフ・ヴァルツ/山路和弘(吹替)/レイフ・ファインズ/原康義(吹替)/レア・セドゥ/園崎未恵(吹替)/モニカ・ベルッチ/五十嵐麗(吹替) ほか

「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2020年公開)

スパイを引退したジェームズ・ボンドは、ジャマイカで穏やかな生活を楽しんでいた。そんな平穏もつかの間、旧友のCIA諜報員フィリックス・ライターが助けを求めて現れる。誘拐されたロシア人科学者を救出する任務は予想以上に危険なものであることが判明し、ボンドは危険な新技術で武装した謎の悪党を追うことになるのだが、そこでスペクターとは全く別の組織の暗躍に気付く。

ダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドのフィナーレを飾るシリーズ最新作。世界遺産にも登録されたマテーラの、幻想的な街並みを背景に繰り広げられるカーチェイスにバイクチェイスなどのド派手なアクションはもちろんのこと、ボンドとマドレーヌのラブストーリーを軸とした濃密な人間ドラマも大きな見どころ。万感胸に迫るクライマックスには思わず心を動かされる。6代目ボンドが有終の美を飾るに相応しいドラマチックで感動的な作品だ。

マドレーヌ役には前作から引き続きレア・セドゥが登板。過去の「007」シリーズにおいて、脇役のボンドガール(本作からボンドウーマンに名称変更)が複数の作品に登場するケースは幾つもあったが、同じ女優が同じ役柄で複数の作品でメインのボンドガールを務めるのは今回が初めてだ。また、「ボヘミアン・ラプソディ」(2018年)でアカデミー主演男優賞に輝いたラミ・マレックが新たな敵サフィンを演じているのも見逃せない。ビリー・アイリッシュの歌う主題歌「No Time To Die」がアカデミー歌曲賞に輝いた。

【番組情報】

映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2020年・英=米)
【字幕】スターチャンネル
7月6日 午後9:00~午後11:46
7月26日 午後9:00~午後11:46

【吹替】スターチャンネル
7月12日 午後9:00~午後11:46

監督/キャリー・ジョージ・フクナガ
出演/ダニエル・クレイグ/藤真秀(吹替) /レイフ・ファインズ/原康義(吹替) /ナオミ・ハリス/杉本ゆう(吹替) /レア・セドゥ/園崎未恵(吹替) /ラミ・マレック/中井和哉(吹替) ほか

物語として大きなつながりを持つ5作品を、一挙に堪能するチャンス!

先述した通り、作品ごとのストーリー的な関係性が強いダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンド映画。過去作から持ち越された謎が解き明かされたり、過去作の出来事や登場人物が重要な鍵を握ったりするため、劇場公開時に映画館でそれぞれ見ているファンでも、改めて5作品を一気見することで、新たに気付くことや発見することも少なくないはずだ。そういう意味で、今回の一挙放送は絶好のチャンス。ぜひ、この機会にまとめてチェックしてほしい。

【番組情報】

●7月6日は1日で一挙見!

映画「007/カジノ・ロワイヤル」
午前11:00~午後1:27

映画「007/慰めの報酬」
午後1:45~午後3:33

映画「007/スカイフォール」
午後3:45~午後6:09

映画「007/スペクター」
午後6:15~午後8:45

映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」
午後9:00~午後11:46


●7月22日~は1日1本ずつ!

映画「007/カジノ・ロワイヤル」
7月22日 午後8:30~午後10:57

映画「007/慰めの報酬」
7月23日 午後9:00~午後10:48

映画「007/スカイフォール」(フルスクリーン版)
7月24日 午後8:30~午後10:54

映画「007/スペクター」
7月25日 午後8:15~午後10:45

映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」
7月26日 午後9:00~午後11:46


●8日からは吹き替えでも!

映画「007/カジノ・ロワイヤル」
7月8日 午後6:20~午後8:46

映画「007/慰めの報酬」
7月9日 午後6:30~午後8:18
__
映画「007/スカイフォール」__
7月10日 午後6:30~午後8:54

映画「007/スペクター」
7月11日 午後6:30~午後9:00

映画「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」
7月12日 午後9:00~午後11:46

文/なかざわひでゆき

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