パンにお酒、クレープまで。パン飲み天国「繁邦(恵比寿)」が見せる、朝と夜の異なる魅力

都内のみならず、全国的に増え続けているベーカリー。パンとお酒を一緒に楽しむ“パン飲み”というライフスタイルも広がりつつあります。

ufu.でも、今ホットなパン飲みを紹介する連載「パン、ときどきワインと雪見みと」がスタート。TVドラマや映画等で活躍しているパン好き女優の「雪見みと」さんと一緒に、いろいろなお店を巡ります。

今回訪れたのは、フレンチの名店「sio」で3年間勤務した店主が開いた店「繁邦(しげくに)」。朝昼夜、そしてバータイムまで、いろんな顔を持ったお店の魅力に迫ります。

家族や先輩と開いた新店。3つの顔をもつ空間

今年2月、恵比寿にオープンした「繁邦(しげくに)」。日中の店頭に並んでいるのは、店主の青木虎太郎さんの両親が営む人気店「しげくに屋55ベーカリー」のパンです。

店名の由来は、青木さんの祖父母である“しげる”さんと“くにこ”さんの名前から。青木さんはsioで出会った先輩シェフに声をかけており、この店のオープンによって、再び一緒に働くことになったのだとか。

お店には、Bakery Cafe(ベーカリーカフェ)、Restaurant(レストラン)、6月から始まったWine Bar(ワインバー)の3つの顔が。時間帯ごとに楽しめるメニューが異なり、お酒のラインアップも変わります。

ベーカリーで人気なのは、店主の母親である啓恵さんが「虎太郎が0歳の時から焼いている」と話す『やわらかシリーズ』。プレーン、くるみ、かぼちゃ、レーズンの4種があり、レストランのメニューにも使われています。

焼きたての絶品クレープ。テイクアウトのあんバターサンドも

カフェ好きの間でも話題の『クレープ-シュガーバター-』は、日中しか食べられない限定メニュー。クレープの製法について、青木さんが教えてくれました。

「クレープは、生地にベーカリーのバケットでも使っている佐賀県産小麦『さちかおり』を使っています。それが一番の特徴ですね。

上には、イギリスの岩塩をかけています。甘すぎず、ところどころ塩気があって食べ進めやすいよう作っています」

カフェのアルコールメニューは、グラスワイン、シードル、ビール。今回オーダーしたのは、ペアリングで選ぶお客さんが多いというシードルです。

「生地がとってもモチモチですね…!美味しくて、あっという間に食べ切ってしまいそうです」食べた瞬間、思わず顔がほころぶみとさん。

小麦粉、卵、牛乳、砂糖、バターのみで作られたクレープは、シンプルなだけに小麦の風味が引き立ち絶品。発酵バターとレモンがのっており、バターをたっぷり塗ってレモンを絞れば、違った美味しさを楽しめます。

テイクアウト限定の『あんバターサンド』も、注文が入ってから作って提供。温かい状態で楽しめます。

北海道産小豆を使った粒あんは甘すぎないよう作られていて、風味豊かな発酵バターとの組み合わせは絶品。「塩も効いていてびっくり。あんこの甘さが引き立っていて、たまらないです」と、みとさんの目が輝きます。

日本ならではの甘じょっぱさ。夜だけ楽しめる「繁邦トースト」

今度はレストランの時間へ。アルコールの種類も増え、ますます「パン飲み」がはかどります。

シャンパンをペアリングした『繫邦トースト』は、やわらかシリーズのくるみパンを使ったシグニチャーディッシュ。青木さんがメニューを思いついたのは、なんと店の外で体を動かしていたときだったそう。

「朝にランニングをしていたら、思いつきましたね。以前からパンをメインに作ろうとは考えていたのですが、突然降ってきました(笑)

味の順番としては、最初に甘さが来て、後にしょっぱさがくる感じですね。すき焼きのような、日本特有の味付けにしています」

「甘じょっぱくて美味しい…!ハチミツの柔らかい香りとパンの香ばしさも相まって、クセになりそうです」と絶賛するみとさん。

焼いたくるみパンにのっているのは、発酵バターとアンチョビ。さらにペコリーノチーズとハチミツがかかり、黒コショウのピリッとした刺激も。それぞれの味わいが何層にも重なり合い、複雑な旨味がありつつ、どこか懐かしい雰囲気を感じます。

こうした魅力的な料理は、どのように生まれるのか?青木さんは、そのルーツに普遍的な味わいがあると話してくれました。

「もともと日本料理が好きで、小料理屋みたいな居酒屋もとても好きなんです。創作料理なんですが、斬新すぎず、少し変わった組み合わせのものを考えています。

“なじみ深くて、誰が食べても美味しいと思ってもらえる料理”を作りたいんです。

あとは、“きれいすぎない”ことを意識しています。飽きないように、ある意味でのムラや雑味を残していますね」

夏を感じる「玉蜀黍(とうもろこし)のクロスティーニ」

最後は、季節限定の『玉蜀黍(とうもろこし)のクロスティーニ』を。とうもろこしの下には、水を切った木綿豆腐とマスカルポーネチーズを合わせたクリームや山椒のオイル漬けが。シャンパンだけでなく、白ワインにもよく合うそうです。

「とうもろこしは甘くてみずみずしくて、クリームはさっぱり。やさしい味わいで、シャンパンとの相性もすごくいいです…!」と食べる手が止まらないみとさんでした。

まだまだ続く、新たな挑戦

独創的なのに親しみがあり、何度も食べたくなる料理をお酒と一緒に楽しめる「繁邦」。レストランタイムの途中から始まるワインバーでは、ポテトサラダやカレーなどを出しているそうです。

「メニューのほとんどを変えていて、小料理屋のような感じです」と話す青木さんの顔には、どこか嬉しそうな笑顔が広がっています。

家族や先輩との縁を背景に、すでに多くの人を魅了している名店。みとさんの心も、「ほかのメニューも、ワインバーも楽しんでみたいです」と惹きつけられていました。

雪見みと Yukimi Mito

兵庫県出身。SNSで人気となりテレビ番組で特集が組まれるなど話題殺到。2021年Vaundy「life hack」MVに出演 。2022年BS12「SDGsらぼ」にて初の番組MCを務め、プライベートでもパンが好きということから、2022年6月には「SDGs×冷凍パンイベント『雪見みと 今日から始めるSDGs』」をプロデュース。
短編映画 純猥談「いつか回り回って恋人に戻れたら幸せです」ではヒロインに抜擢。2023年 テレビ朝日系列「たとえあなたを忘れても」佐久田敬子役にて出演、主演映画の公開も控えているなど注目の若手俳優。

About Shop
繁邦
東京都渋谷区恵比寿南1丁目14-15 ラレンヌ恵比寿 3F
営業時間:Bakery Cafe 9:00-15:00, Restaurant 17:30-23:00, Wine Bar 21:00-23:00
定休日:不定期(公式Instagramのカレンダーで告知)
公式Instagram:@shigekuni_tokyo

撮影/Teppei Daido(大童鉄平) Hair&Make/Shizuka Satake(佐竹 静香)スタイリング/Tomoko Higashino(東野智子)

衣裳/haupia(ハウピア)TEL 03-3249-8914

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