ガンダムを選挙利用? 前市長ら指示、市長選直前の市広報表紙に 富野監督の故郷・小田原で市議会から批判

小田原市役所(資料写真)

 5月の小田原市長選の直前に市がタウン紙などに広告を集中掲載していた問題に関連し、市が広報5月号で人気アニメ「機動戦士ガンダム」のイラストや原作者の富野由悠季監督の写真を掲載したことが波紋を広げている。広報紙を使った守屋輝彦前市長の選挙目的を疑う声も上がり、市も市議会で守屋前市長と側近の八木大二郎政策監の指示を認めた。議会関係者は「広報の私物化で富野監督も利用された」と批判し、市も「市民にあらぬ誤解を与えたのは残念」と釈明している。   

 市は選挙直前の4、5月に年間予算の半分となる約500万円を投じてタウン紙に前市長の政策や実績を紹介する広告を集中的に掲載。「公金を使った実質的な選挙活動」と批判を浴びた。さらに広報5月号でも表紙にガンダムや「伝説巨神イデオン」など、小田原出身の富野監督作品のキャラクターが集結したイラストを載せ、市が富野監督と4月に結んだ包括連携協定について「地域経済の活性化につなげます」とアピールした。

 関係者によると、八木政策監らが5月号の表紙に市が富野監督と結んだ包括連携協定を扱うように指示。さらに市未来創造・若者課は表紙に守屋前市長と富野監督のツーショット写真を掲載するように市広報室に求めたが、これまで表紙に市長の写真を掲載した例は少なく、広報室は「選挙直前で(前市長の)写真を掲載するのはふさわしくない」と反対したという。

 市選挙管理委員会も「公職選挙法で禁じた選挙の事前運動に当たる可能性がある」と指摘したことから、広報室はツーショット写真を削除。その後、八木政策監が広報担当者に「誰の判断で選管に問い合わせたのか」と問い詰め不満を示したが、結局ツーショット写真は使われず、7万5千部が発行された。

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