『アニポケ』“四天王”チリ演じる斎賀みつき リコとのバトルに込めた思い「成長するお手伝いをチリちゃんができたらいいな」<インタビュー>

テレビアニメ『ポケットモンスター』第56話「リコVSチリ!バトルの先に」場面カット (C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon

テレビアニメ『ポケットモンスター』(テレビ東京系/毎週金曜18時55分)が、4月から、新章「テラスタルデビュー」編に突入。新章では「テラスタル」を修得するため、オレンジアカデミーに留学することになったリコ、ロイ、ドットの姿が描かれる。そして、6月28日(金)放送の第56話「リコVSチリ!バトルの先に」で、リコの前に立ちはだかるパルデア地方の四天王 チリを演じるのは、声優の斎賀みつき。「リコちゃんたちの成長物語だからこそ、余計に掛け合うことで生まれたものがあると思う」と、自身の経験も踏まえつつ、掛け合いで芝居することの大切さを熱く語ってくれた。(取材・文=M.TOKU)

■「これはすごい役を受けちゃったぞ」

――もともと『ポケットモンスター』にはどんな印象をお持ちでしたか?

子どもから大人まで楽しめるゲームというイメージです。私、子どもに関わるアルバイトをしていた頃に、『ポケットモンスター 緑』をとある子から「やって!」と渡されたことがあって。やるからにはと思っていろいろな資料をかき集めて、頑張って151匹集めたんですよ。そしたら急に「返せ」と言われまして(笑)。

――なんと!

あれだけ苦労したのになぁと思いながら返したのが、『ポケモン』との出会いです。それから、声優としてもテレビアニメ『ポケットモンスター アドバンスジェネレーション』でシュウ役として出演させていただき、そして今回はチリちゃんを演じることになりました。人気絶頂のままずっとシリーズが続いていて、さらにパワーアップもしているって、本当にすごいことだと思っています。

――本作への出演が決まった際はどんなお気持ちでしたか?

今回はオファーをいただいての出演だったんです。お仕事をいただけるのはありがたいですし、チリちゃんは魅力的なキャラクターなので、ぜひとお返事しました。実際に出演の発表がされてからは、周りからの反響がすごくて。特に同業者から「チリちゃん演じるんだ、すごい!」と言われることが多かったんです。「これはすごい役を受けちゃったぞ」と、責任重大だと思いながらも、その分楽しんでステキな物語を一緒に歩んでいけたらなと思いました。

――改めて、チリをどのような人物だと感じていますか?

中性的な見た目をしていますが、とても清々しい姉ちゃんだと感じています。周りを元気にしてくれるような人ですね。ポケモントレーナーとしてとても強いですが、それを鼻にかけない感じが格好いいです。あとは楽しい人だなと思いました。

――楽しい人!

はい。監督さんや音響監督さんにも「クールじゃなくて明るくて元気。その明るさでみんなを巻きこんじゃうような人」と言われたんです。見た目はクールなイメージがありましたが、愉快な人なんですよね。実際、台本を読んでいても明るさを感じましたし、最初のセリフは「まいど! チリちゃんやで」でしたから(笑)。決めるときは決める格好よさもあるけれど、そうじゃないときはみんなを明るくしてくれる親しみやすさがある人だと思います。

――方言のような話し方も特徴的ですよね。

そうなんですよ。あれは関西弁ではないのですが、一応近しい言葉ということで、アフレコが始まる前にイントネーションなどのお勉強はやっていました。自然に聞こえればいいなと思いながら演じています。

■誰かに負けた時点で終わりじゃない

――チリは四天王としてリコの前に立ちはだかります。バトルしたリコへの印象をお聞かせください。

大人しくて、冷静に物事を分析する子ですよね。でも、みんなよりちょっと半歩ぐらい引いちゃっている感じにも見えて。なので、バトルする中でリコちゃんが少し前に踏み出す、成長するお手伝いをチリちゃんができたらいいなと思いながらアフレコをしていました。

――チリの相棒はドオー。かわいいですよね!

本当にかわいい! チリちゃんがドオーちゃんを愛でるシーンがあるのですが「分かる…」と思いながら演じていました(笑)。どくを持っているので触れることはできませんが、ふたりの信頼関係はやり取りから伝わってきます。ドオーちゃんもそうですが、トレーナーさんに愛情を注いでもらっているポケモンって、すごく幸せそうな顔をしていますよね。逆に雑に扱ったり、道具のようにポケモンを扱ったりするトレーナーは、最終的にはうまくいかないんじゃないかなと。

――そういうメッセージも作品に込められている。

バトルもそうですね。チリちゃんとリコちゃんは真剣バトルをしますが、がつがつした感じではないんですよ。「絶対に勝たないとダメな戦い!」というわけではないというか。でも、ちゃんと勝負はつくんです。それを描くのも大事なことだと私は思っていて。誰かのバトルに負けた時点で終わりじゃないんですよね。むしろ負けた側が、もっと強くなるぞという気持ちが大事なんじゃないかな。

――バトルの勝敗だけがすべてじゃない。

リコちゃんたちの成長を描いている本作は、特にそうだと思いますね。頑張っているリコちゃんたちの姿を見て子どもたちは応援したくなるし、一緒に頑張ろうとも思ってくれる気がします。そういう子どもたちが楽しんでくれたり、元気になってくれたりする作品に関われるのはありがたいよねと、同じ事務所の(ロイ役)寺崎裕香ちゃんとも話していました。

――寺崎さんのお名前が出ましたが、本作のアフレコは掛け合いでの収録ができましたか?

はい。みんなで一緒に収録できました。ものすごい人数の中で演じましたが、迫力が違いましたね。相手がいない収録は、どれくらいのテンションや空気感で演じればいいか、つかみづらいんですよ。特に先に収録をするときは無難な芝居をしちゃうことが多かったんです。一方の掛け合っての収録では、気持ちの交換がちゃんとできるんですよ。例えばリコちゃんが熱くきたら、それ相応にチリちゃんとしても返す、みたいな。盛り上がりや空気を一緒に作っていけるので、みんなで収録できるのはやっぱりいいなと感じていました。

――みんなで一緒に収録してみたら、役者としては感覚が全然違った。

違いましたね。2、30年前は「ブレスの位置がわからない、どうしよう」となったときに先輩たちが「大丈夫だよ」と声をかけてくれたり、「いいよ、(セリフのタイミングを)こぼしても何とかするから」と言ってくれたんです。作品をみんなで作っているという感覚がすごくあったんですよね。分散収録になって、それがなかなかかなわない時期が続きましたが、ようやく一緒に作り上げているという感覚が戻ってきたのが、本当にうれしいです。

――みんなで一緒に作る。ステキな言葉です。

特に『ポケモン』という作品だからこそ、みんなで一緒に作るのが大切だと思っています。今回のシリーズはリコちゃんたちの成長物語でもあるので、彼女たちと関わる周りのキャラクターも、余計にバランスが大事だと思うんですよね。もちろん、分散収録のときも音響監督さんたちが船頭としていろいろと調整をしてくださいましたが、実際に掛け合う中で感じる空気感もありますから。

――なるほど。

『ポケモン』の現場には、めぐさん(林原めぐみ)たちがいるのも大きいです。めぐさんは現場をしっかりと見ていて、「こうしたほうがいいんじゃないかな」と、意見を出してくれるんですよ。あの先輩の姿、すごく格好いいです!

――貴重なお話ありがとうございました。最後に今後の見どころを教えてください!

リコちゃんたちがさらに成長するためのステキな物語が続きます。チリちゃんとのバトルでリコちゃんはどう変化するのか。個人的には一歩進めたのではと思っているので、見届けていただければと思います。そして、その後も見逃さずに、引き続き応援をよろしくお願いします!

テレビアニメ『ポケットモンスター』は、テレ東系にて毎週金曜よる6時55分から放送中。

※一部地域では放送日時が異なる

※放送内容は変更になる場合がある

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