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フジテレビと系列局の新人アナウンサー研修の様子を、2024年入社のフジテレビ新人アナウンサーが公式インスタグラムで報告しました。めざましmedia編集部“新人記者”の新美有加アナウンサーが、講師を務めた軽部真一アナウンサーにインタビュー。めざましテレビ番組開始から30年間ずっとエンタメコーナーを担当してきた軽部アナは、インタビューの難しさからハリウッドスターとの秘話まで、「インタビューの極意」をたっぷり教えてくれました!
めざましテレビでエンタメを担当して30年 軽部真一アナのインタビュー術
軽部:僕は毎年インタビューを教えていて、実践的な内容にしているのですが、今年も僕(軽部)自身へのインタビュー。
新人アナ12人にそれぞれテーマを提示して、あみだくじで選んだテーマを聞いてもらいました。
軽部:例えば、「めざましテレビ」「アナウンサー人生」「健康」「好きな食べ物」「映画」「苦手なもの」など5分間。
というのも、インタビューはアナウンサーにとって避けて通れないもの。
アナウンサーは喋るものというイメージがあると思うのですが、実は人の話を“聞く”仕事。
人の話を聞いて聞いて、聞きまくる。
聞く能力はとても大事なものであって、基本であり究極の形がインタビューですね。
それを僕にインタビューをすることで体感してほしくて。
新美:
口が重い人でも答えてもらえる軽部アナだと思いますが、舞台挨拶も含めて、誰かにインタビューをするうえで気を付けていることは?
軽部:
その空間にいる2人が過ごしやすい場所か、そうじゃない場所かって重要なことなので、「話しやすい空気をつくる」ですね。
人は千差万別ですし、人によって変えます。
相手があんまり喋らない人は、こちらがしゃべっていかないといけないし、一言聞いてもばーっと沢山返ってくるときは、あえてお膳立てをしなくていい。
一つ言えるのは、自分に対して勉強もしてくれているし関心と興味を持ってくれているし、親しみをもってくれているのだなと相手に伝わるような心がけ。
そのためには、その人のことを知っておかなきゃいけない。
事前に読んだり、頭に入れたりが大前提としてあって、それを引き出しにしまっておいたうえで、知っていても知らないフリをすることもあります。
下調べを入念にしますが、陥ってはいけないのは、調べすぎて「こういう答えをしてほしい」という想定をしすぎること。
ディレクターとインタビュー項目を考えていると、こちらが欲しい答えを求めてしまうのですが、昔と今とで同じ答えをするとは限らないですし、その日の気分によって答えを変える可能性もありますから相手の答え方が違ってくる可能性もあります。
その日、その時の答えがすべて。そこは大事なところなのではないかと思います。
新美:
新人の頃からインタビューは得意でしたか?
軽部:
全然そんなことはない。難しいなと思っていたし、喋る方が好きだった。
聞く仕事って言ったけれど、アナウンサーになって知りました。
いかに話す能力をもっているかを問われてアナウンサーになっているもので、面接のときにその人の“聞く能力”はわからない。
ただ、その喋る能力をかわれてアナウンサーになっているのは紛れもない事実で、その上で、話を聞く能力は会社に入って、経験値も含めて、駆け引きも、場数を踏んで培っていきました。
各社苦戦したハリウッドスターの心を掴んだ質問 トム・クルーズ ブラッド・ピット ブルース・ウィリス アンソニー・ホプキンス…ハリウッドスターにインタビュー学ぶ
新美:
自分もインタビューが得意になったなと思ったターニングポイントはありますか?
軽部:
30年前にめざましテレビを始めて、半年経った頃から本格的なエンタメコーナーが始まりました。
当時はハリウッドのスターたちの来日が目白押しの時期で、番組のエンタメコーナーの色付けをしていく上で、たくさんハリウッドスターに会いました。
同い年のトム・クルーズに会ったのも、1年目の秋。
ブラッド・ピッドもこの頃に。
ハリウッドスターのインタビューは短くて、場合によっては10分。
そこに通訳が入るから実質半分。5分ってこともありました。
映画「シックス・センス」の時のブルース・ウィリスやハーレイ・ジョエル・オスメントのインタビューもたしか。
そうなると、一問ずつしか聞けない。
記者会見やサウンドバイト(レッドカーペットでのインタビュー)と一緒ですよ。
時間との勝負なので、短い時間の中で、インタビューを学んできました。
今のThe軽部真一(めざましテレビ内のインタビュー企画)のようなロングインタビューでじっくりというものの真逆をいくのがハリウッドスターとのインタビューで、短い中でどう盛り上げるかが必要。
相手も盛り上げ上手が多いけれど、こちらも負けていられないというのがありました。
たしか「ハンニバル」の宣伝でアンソニー・ホプキンスが来日した時は、とても口が重くて機嫌を取るのに各社悪戦苦闘していたんですよ。
その緊張感の中でディレクターと考えた最初の質問が、
「なんとお呼びしたらいいでしょうか?サーホプキンス?レクター博士?」
これはアンソニー・ホプキンス自身がナイト(サー)の称号をもっているから聞いたのです。
すると、ニコッと笑って、「トニーでいいよ」(トニー:アンソニーの愛称)って言ってくれて。
これで、「来た!」って思いましたね。
この質問を気に入ってくれたのだと。
すると友好的な雰囲気で、柔和に丁寧に僕のインタビューには答えてくれました。入口が大事だと感じましたね。
軽部真一はカンペを見ない!? ロングインタビュー(対談)は「自分ならではの個性を大事に」
新美:
ハリウッドスターへの短いインタビューの一方で、ロングインタビューのイメージもあります。
軽部:
「The軽部真一」は、日本の俳優・ミュージシャンとの約1時間の収録です。
オンエアの3~4倍収録するのでじっくり時間をとって懐に入っていきます。
ある時期は、40代で「カル調」という街頭インタビューを毎週していたので150回くらいインタビューに行きました。
中でも「ファン調」という、コンサートに行ってそのアーティストのファンに話を聞くのが多かったけれど、鉄道ファンや子供たちにも様々インタビューをしました。
これは一般の人にマイクを向けるからハリウッドスターや芸能人のみなさんとも違ういろんな系統の場数を踏みました。
新美:
インタビューを上達させるための努力は?
軽部:
僕らのインタビューになると、新聞や雑誌の記者とは違って顔を出して、「アナウンサー軽部真一」として向かい合うことになるわけですから、どこかインタビューでありながら対談なんです。
自分の個性を出した上で、インタビューを受けてくれる人の前にいる感じ。
だからこそ、自分ならではの個性を大事にしながらインタビューをしてきました。
軽部:
ありがたいことに「軽部さんなら受けます」って言ってくださることもあるので、より良い内容にする必要もありますし、誠意を持ってそのことに向き合わないといけないですね。
そのためのインタビュースキル、内容、コミュニケーション。
あと、僕はインタビュー項目のメモは見ません。
手元のカンペも見ません。
手元のカンペを持たない方がいいかと自分は思うんです。
新美:
忘れたらどうしようと不安になりませんか?
軽部:
不安になることもあるけど、自分なりのこだわりとしてやっています。
よくインタビューをする相手に大泉洋さんがいるのですが、彼は自分で司会もするからすごくそういうことに対する観察眼が鋭いんです。
最初のロングインタビューの時にカンペを持ってないことをすごく喜んでくれて。
というのも、相手がカンペ読んでいることが、自分の話を聞いてくれているのか不安になるそうなんです。
その時は良い台本になっていたので、項目を上から順番に聞いていったのですが「手元に持たないまま順番通りに質問してましたよね、すごいなあ」って誉めてくれたのですが、逆に質問項目とその並びを覚えている大泉さんの方がすごいですよね(笑)
こうなるとプロとプロの競い合いになってきますよね。
「しめしめ」ってなる。
ただ、新人の若いインタビューは、それはそれで必要で、僕らがするものは違って然るべきですよね。
インタビューは場数と個性ですよね。
新人アナへのアドバイス 新人アナウンサーへのアドバイス「自分なりの味や持っている雰囲気は武器とするべき」
新美:
新人たちに「これだけは覚えておいてほしい」というアドバイスは?
軽部:
自分なりの味や持っている雰囲気というのはあるから大事にする方がいい。
時に癖みたいなものになったりすることもあるけれど、臆することなく武器とするべきですね。
新美:
自分の個性なのが何なのかわからないで悩む人も多いと思います。
軽部:
それは場数であって、個性がない人はいない。
その人が生きている以上自分なりのキャラクターはあるはず。
個性がなさそうなのが、個性なこともあるし、濃いキャラクターばかりが個性じゃない。
薄めであっても、それがその人の持っている味わいだから。