建設業から転職“47歳の新人”バス運転手が奮闘中 入社先では40代以下の運転手が297人中54人ほど…新たな人材集めに悩むバス業界の現場

運転手の高齢化や人手不足に悩むバス業界で、力を入れる戦略の一つが中途採用です。 建設業からバス業界に飛び込んだ“新人運転手”が奮闘しています。

北海道の室蘭を拠点に路線バスや都市間バスを運行する、道南バスの営業所です。

3月に入社した路線バスの運転手・野崎新司さん。47歳の新入社員です。

室蘭出身の野崎さんは、道南バスが運転手を募集していると知人から聞いて、一念発起。約30年勤めた建設業の仕事を辞めました。小さいころからの憧れが背中を押したといいます。

道南バス室蘭東営業所 野崎新司さん(47)
「運転することが好きだったんで、大きなバスにすごく興味がありました」

一方、高齢化や定年退職者が増え、人手不足を抱えていた道南バス。所属する約300人の運転手のうち、40代以下は、わずか50人ほどです。

野崎さんのような若い運転手は、喉から手が出るほど欲しい人材で、会社は中途採用に力を入れています。

道南バス労務部 吉田明 部長
「まずバスに乗って興味をもってもらう。(野崎さんのように)バスの運転手になりたいという若い人が、どんどん増えてほしいと思っております」

資材を運ぶトラックなどを運転するため、大型免許を持っていた野崎さん。入社前、乗客を乗せるために必要な“2種免許”も取得するなど、準備を進めてきました。

最終試験の担当者
「これから最終試験を行います、よろしくお願いします」

この日行われたのは、最終試験。教官がブレーキのかけ方や、安全確認が出来ているかなど、一人立ちさせてよいか、目を光らせます。

野崎さんは、指定されたコースを難なく走り切り、無事に試験は終わりました。その結果は…。

最終試験の担当者
「きょうの結果、合格となりましたので、来週からよろしくお願いします」

見事…合格です。

道南バス 安全サービス課 寺本信也 課長
「ブレーキングは難しいと言われているが、(試験では…)お客さんが安心できるようなブレーキングができていたので、とてもいいなと感じております」

最終試験から3週間、実際に乗客を乗せて、バスを走らせる野崎さんの姿がありました。

室蘭の市街地を一周する、利用者の多い路線の乗務、時刻通りに運行していきます。

バスの乗客
「“新人さん”らしく『ありがとうございました』というのが、ちゃんとしている。気持ちいい」

道南バス室蘭東営業所 野崎新司さん
「いま、毎日充実している(バスの運転手は)やりがいのある仕事。お客様が安心して、また乗っていただけるようなドライバーを目指したい」

金銭的な待遇だけでなく、こうした“やりがい”と“使命感”も、業界に新たな人材を集めるためのキーワードなのかもしれません。

© 北海道放送株式会社