円安で物価高が続くなか、ふるさと納税では「意外な返礼品」が注目を集める

メ~テレ(名古屋テレビ)

歴史的な円安の中、7月も多くの食品が値上げされます。物価高が続く中、ふるさと納税では「意外な返礼品」が、注目を集めています。

名古屋市中村区で、きしめん店を営む堀場さん。 この地で長年、地域の人に愛される料理を作ってきました。 焼き太きしめんや、天ぷらきしめんなどが自慢です。 しかし、このところの相次ぐ原材料費の値上がりに、頭を悩ませていると話します。 「さらにまた上がるのかという。すごいその辺がショック」(麺類とお食事処 朝日屋 堀場剛代表)

値上げで常連客が離れる

去年8月、小麦粉などの高騰に伴って、1杯20~30円ほど値上げをしましたが、常連客の一部が離れてしまい、再度の値上げには簡単に踏みきれないと話します。 「上げることによって、お客さんが離れちゃうのがこわい」(堀場代表) いま気になるのが、きしめんの麺や天ぷらの衣に欠かせない小麦粉の値上がり。 大手メーカーが、7月1日出荷分からの値上げを発表し、影響は避けられない見通しです。 「ギリギリの線で、上げずにやろうと思っている。本来なら、去年と売り上げが変わっていないのに、最後の方になってくると、なぜかお金が足らない状態がずっと続いていて」(堀場代表) とどまるところを知らない食品の値上げの影響は、家庭も直撃しています。

「ふるさと納税」に異変

様々な食品の値上げが続くなか「異変」が起きているのが、「ふるさと納税」です。 ふるさと納税サイトの担当者に聞くと―― 「ふるさと納税自体が、生活防衛の知恵の1つとして活用できると、一般的に浸透している」(ふるさとチョイス広報 遠藤香澄さん)

返礼品は紙製品が人気

人気の返礼品といえば、肉や米をイメージしますが、今注目を集めているのは日用品です。 とくに、春に値上げされたトイレットペーパーなど、紙製品が人気だそうです。 「トイレットペーパーは、去年の1月から5月の寄付額を比較すると、約1.8倍に伸びている。ふるさと納税の返礼品は、世相を反映する傾向が強く出る。値上げされる品があれば、その返礼品が人気になる」(遠藤さん) 干ばつによる不作などで5月から、家庭用が最大60%以上の値上げとなった「オリーブオイル」についても―― 「オリーブオイルの人気も高まっている。オリーブオイルの寄付金額は、1月から5月は前年の1.6倍」(遠藤さん)

意外な返礼品とは?

そして、同じく世界的な不作に悩まされている、オレンジ。 返礼品に、国産の「みかんジュース」を選ぶ人が増えていて、寄付金額は前年の2.3倍となっています。 さらに意外な返礼品も、脚光を浴びているそうです。 「各自治体が返礼品として、電力を提供している」(遠藤さん) 料金の高止まりが続く“電気”も、返礼品になっているとのこと。

水力発電所で作った“電気”を、返礼品に

一体、どういうことなのか。 三重県・大台町を訪ねました。 大台町は、山に囲まれた自然豊かな場所です。 大台町では去年9月、町内3か所の水力発電所でつくられた電気を、返礼品に加えました。 「今年の3月時点で、354件の申し込みがあった。大変ありがたい。これから秋、年末にかけて増えていくと思う」(大台町 総務課 西保則課長)

大台町の返礼品ランキングで「電気」は上位

大台町の場合、例えば3万円を寄付すると、450キロワット時の大台町産の電気が提供され、実質7500円が、2~3カ月後の電気料金から差し引かれます。 使い切れなかった分は最大で6カ月、繰り越すことができます。 「中部電力ミライズ」と契約していることなどが条件で、寄付金額は3万円から20万円までの、7種類あります。 「大台町の返礼品ランキングでは、3万円コースが2位。5万円コースが6位、10万円コースが4位。いずれもトップ10にランキングしている」(西保課長)

ふるさと納税で、節約

「電気を返礼品として、受け取っていただくことにより、家庭の負担軽減に少しばかり役に立てると思っている」(西保課長) “ふるさと納税で、節約”。 家計を守る方法のひとつとして、今後も広がりそうです。

© メ~テレ(名古屋テレビ)