ジャニーズ性加害問題、国連が「救済が不十分」と指摘…タレントへの影響も長期化へ

26日にスイスで開かれた国連人権理事会の会合で、故ジャニー喜多川氏による性加害問題の調査報告書が出された。性加害問題に「深い憂慮」が示されたほか、被害補償についても「被害者への救済が不十分」と報告された。かなり厳しい調査結果となったことで、タレントへの影響も長引きそうな気配となっている。

ジュネーブの国連欧州本部で開かれた会合では、国連人権理事会の「ビジネスと人権」に関する作業部会が報告書で、ジャニーズ性加害問題に「深い憂慮」を示し、日本のメディアに対しても「不祥事の隠ぺいに関与してきた」と言及。「日本には、人権侵害を生む構造が根強くある」と指摘し、政府に対してより厳しい規制を取り入れるよう圧力をかけるべきといった意見も出された。

現在、SMILE-UP.(旧ジャニーズ事務所)が被害補償を進めているが、報告書では「性加害を受けた数百人もの元タレントなどに対する救済措置が不十分」とバッサリ。早急に対処するためには、官民挙げての取り組み強化が必要だという認識が示された。

また、作業部会はSMILE-UP.側が被害者に弁護士費用を自己負担させていることも「容認しがたい」と問題視している。

これを受けて、SMILE-UP.は東山紀之社長の名義でコメントを発表。「報告書にある各ご指摘事項を真摯に受け止め、改善や徹底に誠心誠意努めてまいります」とした一方、先述の弁護士費用の件については「弁護士によるサポートを受けるために要する費用を含む諸般の費用も考慮した上で補償額を評価していると認識しております」「補償金額を算定評価する際に、それらの諸般の費用も、故ジャニー喜多川による性加害に起因する経済的な影響の一つとして相応の考慮をしております」と〝反論〟した。

さらに、報告書では2月15日時点で補償額を通知した人数(282名)を踏まえて「被害補償はまだ長い道のり」と指摘されたが、直近(6月14日公表)においては補償額を通知した人数は合計499名になり、連絡に対して返信のない人たちを除くと、被害補償の申告者996名のうち、いまだ手続中の人数は145名となっていると説明。全体的に作業部会への〝反発〟がにじんでいるようにも思える文面となっている。

SMILE-UP.側にも言い分はあるのだろうが、国連欧州本部で開かれた会合で改めて「被害者への救済が不十分」と報告された影響は大きい。

大手のCMスポンサーやNHKなどは「被害者への補償や再発防止の取り組みが着実に実施されていることが確認されるまで新規契約は見送る」との方針を打ち出し、多くのタレントが旧ジャニーズから後継事務所「STARTO ENTERTAINMENT」に移行した後も起用見送りを継続している。国連の会合で「被害者救済が不十分」と報告されたとなると、起用見送りの方針が今後もしばらく続く可能性が高まる。

実際、人気グループのメンバーにも影響が及んでいるようだ。28日付の東京スポーツWEB版によると、今秋での打ち切りが伝えられたフジテレビ系バラエティ番組『オドオド×ハラハラ』の後番組として、Snow Manの渡辺翔太とタレントの東野幸治がMCを務める単発番組のレギュラー化が企画されているが、先述の国連の報告書などの影響により、渡辺を続投させるかどうかは不透明な状況になっているという。

本来ならタレントたちは問題と無関係のはずなのだが、STARTO社に所属している限り、今後もしばらく苦難の道が続きそうだ。

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