有名雑誌のアートディレクターを務めたデザイナー新谷雅弘さん(80)=島根県海士町崎=の制作物などを集めた企画展「『アンアン』『ポパイ』のデザイン 新谷雅弘の仕事」(山陰中央新報社など主催)が28日、松江市袖師町の島根県立美術館で始まった。初日はギャラリートークがあり、新谷さんが展示空間を一つの雑誌に見立てる「立体雑誌」の考え方を解説した。
新谷さんは1970年創刊の「アンアン」のデザインに参加。以降、デザインやレイアウトの方向性をデザイナーに指示するアートディレクターとして「ポパイ」「ブルータス」「オリーブ」などを手がけた。
同館の開館25周年を記念した企画展で、雑誌270冊とイラスト、原画125点のほか、雑誌に掲載されたカメラやラジオなどの家電も並ぶ。雑誌のページを拡大した高さ3メートル以上のパネルや、新谷さんが手書きした作品説明が来場者の目を引く。
ギャラリートークで新谷さんは「いろんな考えでごちゃごちゃしている人間の頭の中を表現したのが雑誌だ。さまざまな思いが詰まった会場を一つの『立体雑誌』として見てほしい」と話した。
デザインに興味があり訪れた島根大総合理工学部4年の三谷咲樹さん(21)は「立体雑誌という新しい表現が面白い。目を引くイラストや写真がたくさんあり、説明を読むのも楽しかった」と話した。
午前10時から日没後30分まで。火曜休館(ただし8月13日は開館)。観覧料は当日(コレクション展セット)が一般1450円、大学生1100円、小中高生500円。