米PCE価格指数、5月前年比+2.6%に鈍化 利下げ観測強まる

[ワシントン 28日 ロイター] - 米商務省が28日発表した5月の個人消費支出(PCE)価格指数は、前年比2.6%上昇し、前月の2.7%から鈍化した。前月比では変わらず。4月は0.3%上昇で改定されなかった。

ロイター調査によるエコノミスト予想は前月比変わらず、前年比2.6%上昇だった。

<利下げ観測高まる>

前月比で横ばいとなったのは6カ月ぶり。BMOキャピタル・マーケッツの米国担当チーフエコノミスト、スコット・アンダーソン氏は、「FRBにとって極めて望ましい結果となり、9月利下げの軌道から外れない」と指摘。「コアインフレの減速は、経済をソフトランディング(軟着陸)の軌道に乗せるためにまさに必要なものだった」とし、長期にわたり金利が高止まりしても緩やかな経済成長が維持されるという信頼感が高まるとの見方を示した。

INGのチーフ国際エコノミスト、ジェームズ・ナイトリー氏は「インフレが落ち着きを見せているという主張を後押しし、年内利下げの道が開かれる可能性が十分にある」と述べた。

PCE価格指数の伸び鈍化を受け、連邦準備理事会(FRB)が9月までに利下げを決定し、12月に追加利下げを実施するとの観測が高まった。フェデラルファンド(FF)金利先物市場が織り込む9月までの利下げの確率は約68%と、64%から上昇した。

<コア指数、前月比0.1%上昇>

モノの価格は0.4%下落。昨年11月以降で最大の下落率となった。娯楽用品、自動車、家具、耐久消費財の価格が大きく下落した。

ガソリンやその他のエネルギー製品の価格は3.4%下落。衣料品・靴の価格も下落した。

サービス価格は0.2%上昇。住宅費、公共料金、医療費が上昇した一方、5カ月連続で上昇していた金融サービス・保険は0.3%下落した。

変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は前月比は0.1%上昇と、昨年11月以降で最小の伸びとなった。4月は0.2%上昇から0.3%上昇に上方改定された。

コア指数は前年比2.6%上昇で、2021年3月以来の小幅な伸び。4月は2.8%上昇だった。

FRB当局者が「スーパーコア」として注目する住宅・エネルギーを除くPCEサービス上昇率は0.1%上昇。4月は0.3%上昇だった。

個人消費支出は前月比0.2%増、4月は0.1%増だった。

サービスへの支出は0.3%増。医療、住宅、航空輸送のほか、公共料金への支出が伸びた。4月は0.4%増加していた。

モノ(財)への支出は0.2%増。処方薬、娯楽用品、車両、衣類などへの支出が増加し、4月の0.5%減から反転した。

個人所得は0.5%増。4月は0.3%増だった。賃金は0.7%上昇した。

インフレと税金を考慮した後の家計所得は0.5%増。貯蓄率は4月の3.7%から3.9%に上昇した。

インフレ調整後の消費支出は0.3%増。4月は0.1%減だった。

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