人工授精ライチョウふ化 富山市ファミリーパーク 国内初、野生個体から2羽

ふ化したニホンライチョウ(富山市ファミリーパーク提供)

 富山市ファミリーパークは28日、国の特別天然記念物に指定されている絶滅危惧種ニホンライチョウの野生個体からの人工授精によるふ化に国内で初めて成功し、ひな2羽が誕生したと発表した。環境省は「野生集団への影響を最小限にしながら、遺伝子の多様性を確保できる重要な技術」としている。

 パークによると、5月25、26日に北アルプス乗鞍岳に生息する野生の雄3羽から精子を採取し、飼育している雌5羽に人工授精した。6月5日までに12個の卵が生まれ、このうち2個がふ化した。

 1羽目は体重約15.4グラムで28日午前3時20分、2羽目は約17.8グラムで同10時14分にふ化が確認された。いずれも性別は不明で、同じ雌の卵からかえった。元気な様子だという。

 パークは、ひなはふ化後2週間まで体調を崩しやすいことから、衛生管理を徹底し、注意深く観察するとしている。担当者は2羽が成鳥となり繁殖に加われば、保護増殖事業に遺伝的多様性の幅が広がると期待し「一つの壁は越えた。成鳥になるまで大切に育てていきたい」と話した。

 同パークでは6~16日に雌5羽が新たに11個を産卵したが、27日の検査で全ての卵で、細胞分裂を繰り返して成長する「発生」が確認できなかった。

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