【陸上】田中希実 パリ五輪2種目内定…修行の成果実感「ケニアで練習してきたままで走れる」

女子1500m決勝でも優勝した田中希実

〝異国〟での学びを好走につなげた。陸上の日本選手権2日目(28日、新潟・デンカビッグスワンスタジアム)、女子1500メートル決勝が行われ、田中希実(ニューバランス)が4分1秒44で5連覇を達成。パリ五輪の参加標準記録(4分2秒50)を突破し、5000メートルに続いて2種目の内定を勝ち取った。

序盤から日本人選手で唯一ペースメーカーにつく展開。最後まで懸命に腕を振り抜き、2位の井出彩乃(資生堂)に約10秒差をつける圧勝劇だった。レース後には「自分の限界を知りたいという走りができた。今まですごく苦しんでた数年のことを思うと、すごく飛び上がって喜んでもいいぐらいの記録に自分は感じる」と頬を緩めた。

6月には人生4度目のケニア合宿を敢行。「ケニアでも練習の中で勝負していけるような立場になりたい。余裕を持って練習をこなせるようになれば、練習の中でも勝負を仕掛けていくことができる」。日本では追いかけられる立場だが、ケニアでは追いかける立場。世界トップクラスの選手がそろう環境で、自ら勝負を仕掛ける地力の強化に励んだ。

8位入賞を果たした東京五輪時に記録した日本記録(3分59秒19)に届かなかったが、ケニアでの経験値を十二分に発揮した。「いつもだったらやっぱり外国人選手と走るってなった時に、少し焦ってしまったりとか、怖いという気持ちが生まれる。逆に今回は直近までケニアで練習をしたりとか、バチバチのケニア人同士のレースを生で見たりとかもしていたので、そこの部分の抵抗がなかった」。弱気になることなく、最後まで強気の姿勢でゴールに飛び込んだ。

今大会は800、1500、5000メートルの3種目にエントリー。「ケニアで経験したことをここ(今大会)でもできるということがすごく楽しみだったり、ケニアで練習してきたままで走れることがすごく自分の中ではうれしかった」。パリ五輪に向けて、ケニア仕込みの走りに磨きをかけていく。

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