都心街路樹に“前代未聞”の不気味キクラゲ 「とって食べる」ワイルド行為は大丈夫なのか?

[銀座や皇居にほど近い東京・有楽町で話題を呼んでいる「キクラゲ大量発生」。その後を追いました。

JR有楽町駅(東京・千代田区)付近の街路樹に「キクラゲ」が大量発生しネットで話題を呼んでいる。街路樹を管理している千代田区、そして農林水産省に状況を聞きつつ、食べて良いものなのか聞いた。

【先にオチを見る】「食べても良いのか?」の質問に区と農水省は…

画像をもっと見る

■「有楽町産の天然キクラゲ」

23日、一般ユーザーがXで発信した「雨の有楽町、マロニエ並木にキクラゲがモコモコ生えてた」というポスト。写真には数百個にも及ぶ茶色いキクラゲが木の幹を覆うようへばりついており、「1番太い枝が折れてしまったようで弱っている」「綺麗で食べれそうな気がして来ます」と、投稿者による現場レポートもリプライで添えられている。

その投稿に対し、ネットでは「おいしそ!」「有楽町産の天然キクラゲ」というストレートな感想から、一方で「折れちゃうやつですね」「キノコが生える立木は弱くなってるんだとか」と状況を分析する声があり、盛り上がりを見せた。

関連記事:「カップの博多ラーメン」3選 本場の味をおうちでも手軽に

■たしかにキクラゲはあった

場所はJR有楽町駅から東京駅方面に向かう歩道上。ちょうど東京国際フォーラムと線路の間にある道で、料理店が連なっているエリアだ。

27日夜、現場に立ち寄ると、植樹されたベニバナトチノキの数本にいくつかのキクラゲを確かに確認できた。Xではびっしり自生していたが、すでに除去されたのか、記者が見た時点では合計3本の木にそれぞれ4〜5個程度。木の上や根本などにこっそり自生しており、近づいてじっくり見ないとわからないレベルだった。

記者が写真を撮っていると、近くにいた居酒屋帰りのサラリーマングループに「何してるの?」と話しかけられた。状況を説明すると「へぇ、しょっちゅうこの通りには来ているけど気づかなかった。ウマそう。食べられるのかな?」と興味津々。

とはいえ、夜にも関わらずキクラゲ周辺には無数のアリが蠢いており、相当なキクラゲ有段者でもその選択はとらないように思えた。

関連記事:「カップの博多ラーメン」3選 本場の味をおうちでも手軽に

■「過去、聞いたことがない」

街路樹を管轄している千代田区道路交通課に状況を聞いた。

「26日に区HPとお電話で合計2件のお問い合わせがあり、いずれも『木にキクラゲが生えており、樹木の枯死が心配。伐採対応できるか』という内容でした。確かにキノコ類が生える樹木は弱っている可能性がある。即日現場を確認した上で、その日中に合計3本の木からキクラゲを除去。枯れが見られる別の一本の幹も伐採しました」(千代田区)。

過去、同様事例はあったか尋ねると「他のキノコが生えているという事象は聞いたことがありますが、キクラゲが…というのは過去、聞いたことがなく、少なくとも私が担当してからは一度もありませんでした」と担当者も想定外のケースだったという。

「区では東京都のマニュアルに則り、定期的に街路樹の診断を行っています。樹木が良い状況だと『10年おき』、やや問題点があると『5年おき』などに状況をチェックする体制なのです。今回の事例は、その診断の合間に起きた状況で、直近の調査データでは問題なしと判断されていた木でした」(千代田区)。

関連記事:「カップの博多ラーメン」3選 本場の味をおうちでも手軽に

■食べては…だめそうでした

ちなみに採取して食べて良いものなのか。それを尋ねると「街路樹は千代田区で管理している樹木ですので、その点についてはお辞めていただけますと…。」と担当者は記者に忠告する。

念の為、農林水産省にも問い合わせたが、林野庁特用林産対策室の担当者も同様に「樹木には国や自治体など所有・管理する者がおり、また一般論として、そもそもよくわからないものを食べるのは危険。特にキノコ類は色々な種類があり、見た目だけでは本当にキクラゲかどうかの判断がつかないケースもある」と警鐘を鳴らした。

大都心に突然発生したキクラゲ騒動。見つけたらその場所の自治体に報告するのがよさそうだ。

(取材・文/Sirabee 編集部・キモカメコ 佐藤)

© 株式会社メディアジーン