広島・堂林 お待たせ1号!戸郷撃ち「無我夢中」の先制ソロ 昨年9.23以来の快音 開幕4番が逆襲へ

 5回、左越えに先制の1号ソロを放つ堂林(撮影・佐藤厚)

 「巨人3-2広島」(28日、東京ドーム)

 待望の一発じゃ!広島の堂林翔太内野手(32)が五回に先制の今季1号ソロをマーク。戸郷の失投を完璧に捉えた。九回には同点劇をお膳立てする、進塁打を放ち仕事を果たした。チームはサヨナラ負けで連勝が3でストップ。2桁貯金リーグ一番乗りを逃すも、新井貴浩監督(47)は前を向いた。6月の戦いも残り2戦。2つ勝ってやり返すしかない!

 代名詞の美しいフォロースイングがようやく飛び出した。赤く染まった左翼席へと吸い込まれる白球を優雅に見送り、ゆっくりと走り出す。堂林が今季1号の先制ソロでスコアボードに「1」を刻んだ。

 「無我夢中で、真っすぐを打ったとしか覚えていないです。手応えは打った瞬間いくと思いました」

 両軍無得点で迎えた五回の第2打席。相手先発・戸郷に対し、カウント2-2からの5球目。外角に構えた岸田のミットが内に動いた失投を逃さなかった。「うまく反応出来た」と145キロの直球を鮮やかに引っ張り込み、放物線の余韻に浸るように打球を見つめた。

 昨年9月23日・巨人戦(東京ドーム)以来の一発は、今季開幕戦で4番に座った12球団の打者の中では最も遅くなったアーチ。前カードのヤクルト戦では、10打数1安打となかなか結果が出ない中でも「相手がいることなので、そこは自分のやるべきことをやっていれば、いつかはH(ランプ)がつくと思ってやってました」と、焦らず状態を上げるために最善を尽くした。

 豪快な一発だけではない。1点ビハインドの九回1死二塁では、バルドナードと対峙(たいじ)。2球で追い込まれながら粘りを見せ、最後は外角の直球にバットを合わせた。結果は二ゴロも、二走・小園を進める進塁打に。「チェンジアップをケアしていた。真っすぐを振ったら逆方向に飛んでくれた」と振り返った。

 その後、2死三塁となり、田中の打席でバルドナードが暴投。土壇場で同点に追いつき、首位に立つチームの意地を見せつけた。「あの1点が取れたのは、大きな進塁打だったのかな」と惜敗の中で確かな存在感を放った。

 連勝は3でストップしたが、新井監督は前を向く。「良いゲームは出来たと思う。しっかり序盤は守って、相手に流れを渡さずに。ドウ(堂林)も良いホームランだった。また明日です」と引きずるような負けではないことを強調した。

 選手たちも気持ちは同じだ。「勝ちにつながれば良かったですけど、また明日切り替えて頑張りたいと思います」と堂林。次こそは勝利につながる一打を放ってみせる。

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