【写真発掘!】小池百合子氏は31年前、ミニスカにギプス姿で選挙戦に出ていた!

1993年衆議院選挙・兵庫 右足にギブスを着けて演説する小池百合子・現都知事(C)日刊ゲンダイ

時代はジュリアナ、ボディコン、お立ち台ですからね(ジュリアナ東京1991~94年、小池氏衆院初当選1993年)。小池さんがミニスカで選挙カーに立っても何の違和感もなかったのは、私たちの世代ならご存じのとおりです。ただ、ミニスカから伸びる右足のギプスはひときわ目立っていました。

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都知事選真っただ中の小池百合子東京都知事。立憲民主党を離党した蓮舫元参議院議員らとしのぎを削るが、31年前はミニスカートにギプスで選挙戦に臨んだのをご存じだろうか? 1993年、衆議院総選挙でのこと。前年に結党された細川護熙氏率いる日本新党がどれだけ議席を得るか、そして政権交代が成るかどうかが焦点だった。

小池氏は前年の参院選でテレビキャスターから転身し、日本新党から比例代表で立候補して初当選。1年で衆院選に鞍替えした。当時は中選挙区制で、小池氏の出身地、旧兵庫2区は定数5。「おたかさん」の愛称で人気の土井たか子社会党委員長や、初当選が旧憲法下という自民党の大ベテラン「ハラケン」こと原健三郎元衆議院議長など大物ぞろい。そこに小池氏が割って入れるかが注目で、NHKは公示日に昼の全国ニュースで選挙区の候補全員の第一声を伝えることにしていた。そして小池氏の取材を担当したのが当時NHK神戸放送局の記者だった私だ。

7月4日の公示日、出陣式に現れた小池さんの姿は鮮烈な印象があった。右足に大きなギプスをはめていたのだ。足の甲の疲労骨折ということだった。小池氏はキャスター時代からミニスカートで知られ、週刊誌に『ミニスカートの国会報告』というコラムを連載していたほどだ。この日も膝上のミニスカート。そこから伸びる膝下の白いギプスは一段と痛々しく見えた。

■ 出陣第一声はダラダラ演説

出陣式の第一声はそれほど長くならないのが通例だ。その後、選挙カーで選挙区内をくまなく回らなければならないから。ところが小池氏の演説は長かった。いつまでも終わらない。その割に「ここが放送に使える」というポイントが中々出てこない。

NHKニュースでは選挙の第一声は公平を期すため、原則すべての候補者の音声を25秒とか30秒とかにそろえる。それより短くも長くもなく、きちんと同じ長さに収まるよう編集して放送する。そのために記者が現場で第一声を聴きながら、候補者が訴えたいポイント、放送に使えそうな部分はどこかを決めておかねばならない。小池氏の第一声は40分もかかった。終わった時、私は隣のカメラマンと顔を見合わせた。

「いったいどこが使える?」

「いや~、厳しいですねえ。40分もしゃべったのに(苦笑)」

この人、大切な選挙戦の第一声で伝えたいポイントを絞って話せないなんて……、大丈夫か? そんな思いが頭をよぎったが、人の心配をしている場合ではない。「使えるところがない」ではすまないのだ。慌ただしく会場を後にし、局内で映像編集の担当者と四苦八苦しながら放送できる部分を探し、昼のニュースに間に合わせた。

そして迎えた投開票日。小池氏は、トップの土井たか子氏(22万972票)に続く2位当選(13万6000票)。小池人気で当選が危ぶまれたベテラン原健三郎氏は「ハラケン危うし!お助け下さい、お救い下さい」との捨て身の呼びかけが功を奏したのか、最下位で当選に滑り込んだ(11万1444票)。日本新党は全国的に躍進し、非自民連立政権が樹立されて自民党は下野。政権交代が実現して55年体制が終わりを告げる歴史的選挙となった。

これを契機に小池氏は華やかな政治キャリアを重ねる。選挙で負けたのは2009年、再び自民党が下野した“政権交代選挙”の小選挙区での1回だけ。その時も比例で復活当選したので落選経験はまだ一度もない。

ちなみに蓮舫氏がクラリオンガールになったのが1988年、テレビキャスターになったのが1992年。小池氏とともにまさに時代と“シンクロ”していた2人が今、都知事選で対決するというのも因縁かもしれない。ただし小池氏衆院初当選41歳、蓮舫氏キャスター24歳だったことを考えると隔世の感はある。今は71歳と56歳でさして年齢差を感じないが。

あれから31年がたっても鮮やかに思い出す。長いわりに内容の乏しい演説。ミニスカートからすらっと伸びた足のギプス。どれほどの大けがだったのだろう?

小池氏と言えば先日、服装が話題になった。立候補表明後の囲み取材でテレビ朝日の記者が、他の記者の学歴詐称疑惑の質問を遮るように“勝負服”の質問をして大ひんしゅくをかった。ギプスも“どうでもいい”かもしれないが、小池さん、結局のところあの時のギプスのけが、治るのにどのくらいかかったんですか?

(相澤冬樹/ジャーナリスト)

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