“もう1つの首都決戦”都議補選が告示…裏金自民はボロ負け必至「8戦撃沈」もあり得る大逆風

負け越せば岸田首相(左)は大打撃、注目の萩生田政調会長(右)の「お膝元」はマスコミシャットアウトで決起集会(C)日刊ゲンダイ

7月7日投開票の都知事選が熱を帯びているが、裏金自民にとって、より重要なのが28日、告示された都議補欠選挙だ。都内9選挙区で実施され、都知事選と同日に投開票される。小池知事に乗っかっただけの知事選は「勝ちを拾える状況」(自民党関係者)だが、自民の看板を掲げて戦う補選は裏金事件への審判を受けることになるだけに、状況は厳しい。次期衆院選に向けた足場づくり、都議会最大会派を維持するためにも絶対に負けられない戦いなのだ。負け越せば、岸田首相は大ダメージだ。

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補選は江東区、品川区、中野区、北区、板橋区、足立区、八王子市、府中市、南多摩の各選挙区(欠員各1)で実施される。うち、南多摩をのぞく8選挙区で自民は候補を擁立。特に、何としても死守しなければならないのが、自民都議が死去したり、辞職したことで「穴」があいた江東、北、足立、八王子、府中の5選挙区だ。

「5選挙区はもともと自民が議席を保有していたわけですから、都議会で議席を維持するためにも負けは許されない。現状、自民は27議席の最大会派で、小池知事が特別顧問を務める都民ファーストの会は25議席。最大会派から陥落することになりかねないため、どうしても落とせない。1つでも落とせば、岸田総理の責任問題ですよ。最悪、8戦全敗もあり得る状況ですが、そんなことになったら次期衆院選は絶望です。正直、都知事選よりも重要な選挙です」(自民党関係者)

5選挙区のうち、自民にとって最も厳しい情勢と目されているのが、北区だ。都ファ新人の元区議の女性は2019年区議選でトップ当選を果たしたつわもの。自民、維新、共産の3新人を抑えてトップに立つとみられている。江東は無所属の女性新人が、足立は立憲の女性新人が優勢だという。

岸田首相は「全敗だけは避けるように」と念押し

注目は、裏金2728万円の萩生田前政調会長の「お膝元」の八王子だ。自民は萩生田氏子飼いの元市議の男性を擁立。諸派の元都議との一騎打ちとなる。19日には八王子市内で自民候補の決起集会が開かれ、萩生田氏と小渕優子選対委員長が出席。ところが、マスコミシャットアウトという異例の厳戒態勢だった。

「この状況で萩生田さんを前面に出し過ぎるのは良くないと分かっている。だから、応援入りも最低限になるだろう」(八王子の自民関係者)

5選挙区以外では、やはり裏金づくりに手を染めていた下村元文科相の地元・板橋だ。自民の元都議のほか、維新、都ファ、共産がそれぞれ新人を擁立している。

「自民元都議は下村さんの元秘書です。17、21年の都議選で連敗し“負け癖”がついてしまっている。自民党関係者は『今回も厳しいだろう』と嘆いています」(板橋区政関係者)

ボロ負け必至の状況に、岸田首相は戦々恐々だ。

「4月の衆院3補選以降、連戦連敗ですから、総理の焦りは相当なものです。都連会長の萩生田さんに『全敗だけは何としてでも避けてくれ』と強く念押ししたようですが、果たしてどうなるか……」(官邸事情通)

女帝に乗っかった都知事選で勝ちを拾っても、都議補選で大敗すればチャラどころかマイナスだ。

岸田はさらに追い詰められることになる。

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