日本では人喰いバクテリアが話題に…感染症拡大のコロナ禍との関係が論争に(シェリーめぐみ)

人食いバクテリア(国立感染症研究所から)

【ニューヨークからお届けします】

日本では“人喰いバクテリア”感染が大きな問題になっていますが、世界各地でも風邪から結核まで様々な感染症が大流行、コロナ禍との関連が論争となっています。

ブルームバーグと調査会社エアーフィニティが、世界各国の60以上の公衆衛生機関のデータを分析した調査によると、パンデミック前に比べ44の国と地域で、感染症の流行が悪化していることがわかりました。

例えば、アメリカではコロナ禍後のインフルエンザ患者は、それ以前と比較して約40%も増えました。中国では百日咳の症例が、今年の4月までに昨年の45倍に達しています。また、冬に入ったばかりのオーストラリアでは、呼吸器合胞体ウイルス感染症(RSV)が1年前の約2倍に増えています。

一方、日本では人喰いバクテリアと呼ばれる劇症溶血性レンサ球菌感染症が、原因不明の急増を見せています。さらに、2022年に新たに結核と診断された人は世界で750万人にのぼり、世界保健機関(WHO)が1990年代半ばに結核の状況を監視し始めて以降、最悪の年となりました。

世界的な感染症拡大の理由の1つとして考えられるのは、「免疫の負債」と呼ばれるものです。ロックダウンで人との接触が減っている間に、人々の免疫が弱ってしまったという考え方です。

また、コロナワクチンの安全性に対する懸念の影響で、他のワクチンの接種を避ける傾向が強まっています。これは特にアメリカでの麻疹の流行と関係があると考えられています。

いずれにせよ、近代医学の時代において、世界的な感染症の流行はコロナ禍が初めてです。今回の感染症の拡大がどう関係しているかの、決定的な答えはまだ出ていません。

(シェリーめぐみ/ジャーナリスト、ミレニアル・Z世代評論家)

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