1ヶ月の食費はどのくらいまでなら「セーフ」でしょうか? 仕事をしながらなのであまり自炊できていません。

1ヶ月の食費の理想的な金額を算出

食費の目安を決めるうえで、「エンゲル係数」と呼ばれる指標があります。これは家計の支出における食料費の割合を表したもので、生活水準が高いほどエンゲル係数は低くなるといわれています。エンゲル係数が高いほど食費による生活負担は大きく、低いほど生活に余裕があるともいえるでしょう。

エンゲル係数は、具体的な適正数値が示されていません。個人のライフスタイルや1世帯の家族構成によって異なりますが、一般的におおまかな目安として20~24%とされています。

今回の検証にあたって、総務省統計局が定期的に実施する「家計調査」から単身世帯と二人以上の世帯の平均総支出と平均食費を抜粋し、算出したエンゲル係数と一般的な適正値とを比較します。

単身世帯の場合

2023年の単身世帯(勤労者世帯)の平均食費は月4万6391円、平均総支出は16万7620円でした。エンゲル係数の計算式は「食費÷総支出×100」で求められ、この場合のエンゲル係数は約27%です。エンゲル係数の一般的な適正値である20~24%を超えるため、食費が生活に負担をかけていると分かります。

仮に、毎月の総支出が15万円でエンゲル係数が家計調査と同じ27%の場合、単身世帯が食費にかけている金額は3万9000円です。適正なエンゲル係数を考慮した場合の食費は3万~3万6000円であるため、食費を3000~9000円程度削減しなりません。差額は1万円を下回るため、外食費用を抑えれば十分届く範囲といえるでしょう。

二人以上の世帯の場合

同資料によると、二人以上の世帯の平均食費は月8万6554円、平均総支出は29万3997円でした。この場合のエンゲル係数は約29%です。単身世帯よりも3%高いため、二人以上の世帯は単身世帯より生活に余裕がないと分かります。

仮に、毎月の総支出が25万円でエンゲル係数が家計調査と同じ29%の場合、二人以上の世帯が食費にかけている金額は7万2500円です。

エンゲル係数の適正値で計算すると、理想的な食費は5万~6万円です。健全な家計を目指すには毎月1万2500~2万2500円の食費を削らないといけないため、外食中心の生活では理想的な食費を目指すのは難しいでしょう。

自炊の数を減らしながら食費を節約する方法

ここからは、自炊の数を極力減らしつつ食費を節約する方法を紹介します。もし仕事の関係でほとんど自炊ができない場合は、以下の方法をお試しください。

保存が利くおかずをまとめて作っておく

1ヶ月の間に1回でも自炊ができる時間を作れるなら、その時間におかずをまとめて作り冷凍保存しておきましょう。調理を1回で済ませると、数日~数週間分の食事を確保でき、光熱費や外食費を抑えられます。

外食やコンビニの利用を控える

料理を作る気力がない場合でも、外食やコンビニ弁当の利用を控えるだけで食費は抑えられます。例えば、スーパーの弁当・総菜類やインスタント食品に置き換えれば、外食やコンビニ弁当よりも低コストです。コンビニ弁当や外食は量の割に価格が高いため、エンゲル係数を上昇させる要因になり得ます。

冷凍食品を大量にストックする

仕事で疲れているときでも、電子レンジで食品を温める程度なら負担になりにくいでしょう。冷凍食品類は比較的価格が低く、長期保存も可能です。

大量にストックしておけば、コンビニ・スーパー・飲食店に通う頻度も少なくできるため、タイムパフォーマンスもあがります。スーパーで冷凍食品が安くなる日を狙って、ストックを確保しておきましょう。

支出と食費はバランスが大切

食費を抑えれば趣味や貯蓄にお金を回せますが、食事は健康な生活を送るうえで重要な要素です。理想的な食費を超えないようにと食事の回数を減らしたり、量を減らしたりして食費を削る行為は危険です。

きちんと栄養をとらないと、健康を損ない、プライベートや仕事に影響をおよぼす恐れがあります。最低限必要な栄養をとれる範囲で食費を節約しましょう。

出典

総務省統計局 家計調査(家計収支編) 2023年(令和5年)平均結果の概要

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

© 株式会社ブレイク・フィールド社