鉄道ファン「5秒3万円」に大満足? 「吹き込み作業撮影会」とは?

「デゴイチ」の愛称で親しまれる蒸気機関車「D51」。6月19日、JR東日本の車両工場で撮影会が開かれた。この撮影会の特徴は、その参加料金である。

【映像】轟音が響く「吹き込み作業」の瞬間

「ネットで見て『3万円か…うーん、でも行っちゃえ』って感じで申し込んだ」(60代の鉄道ファン)

3万円と高額な理由は「吹き込み作業」という、検査の時にしか行われない特別な様子の撮影が組み込まれているからだ。

どこまで需要があるかは見込めなかったが、20人限定で販売したところ、あっという間に完売した。これには企画したJR東日本も満足しているようだ。

「率直な感想としては、こんなに早く売れるとは思っていなかったので、すごく嬉しい」(JR東日本大宮総合車両センター 山口諄さん)

こうしたイベントの背景には、コロナ禍を経て本業の鉄道収入が落ち込んでいるという事情がある。そこで、これまで見過ごされてきた検査の様子などを「特別なイベント」に仕立てることで鉄道ファンの新たな需要を掘り起こし、収益アップにつなげようという狙いだ。

ちなみに、この日のメインイベント「吹き込み作業」は、わずか5秒ほどで終わるため…

「それでは吹き込み作業、いきまーす」というアナウンスに対し、鉄道ファンも「ちょっと待って、ちょっと待って」「まだまだ」などと、3万円がかかっているだけあってつい力が入る。

そしていよいよD51から「プシュー」と轟音が響き、吹き込み作業が完了。

SLとは対照的に、撮影を終え静まり返る鉄道ファン。しかし、皆さん大満足の様子だ。

「太陽の向きや(D51の)位置などにも配慮してくれたので、満足できる写真が撮れた」「営業列車で走っている時とは違う仕様にわざわざしたがゆえの価格設定だと思ったので、3万円という価格にも全然納得できる」(20代の鉄道ファン)

「興味のない人にとっては高いだろうが、我々オタクはそんなに高いとは思わない。普段は絶対見られないところだし、参加しないと体験できないイベントだ」(70代の鉄道ファン)

この車両工場では明日、試運転するSLの運転室に乗ることができるイベントも予定している。参加費用は1人13万円。しかしこちらもすでに完売していて、コアな鉄道ファンを対象にした強気の価格のイベントが、今後の新たな鉱脈となるかもしれない。

※これはテレビ朝日「グッド!モーニング」で放送した内容をABEMA TIMES編集部で記事化したものです。

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