感心、感動...「葉っぱの切り絵」 福島・飯坂にリトさん美術館

来館者に記念のステッカーを手渡すリトさん(右)

 世界で注目を集める葉っぱ切り絵アーティスト「リト@葉っぱ切り絵」さんの作品を集めた美術館「リトリーフアートミュージアム福島」は28日、福島市飯坂町の福島片岡鶴太郎美術庭園に併設し開館した。会場を訪れたリトさんは来館者と触れ合い「葉っぱの質感や作品の小ささを実際に見て感じてほしい」と話した。

 リトさんは、発達障害の一つ注意欠陥多動性障害(ADHD)を前向きに生かそうと、2020年から独学で制作を開始した。各地で個展を開いてきたが、常設美術館は初めて。

 館内には、大小の魚が泳ぐ水族館を表現したリトさんの代表作「葉っぱのアクアリウム」や開館に合わせて制作した新作「葉っぱのミュージアムにようこそ!」など作品約50点と自宅近くの公園などで撮影した写真がセットで展示されている。

 リトさんは開館初日、来館者にステッカーを配布し、サイン会も開いた。磐梯町の男性(63)は「障害を逆に生かし繊細な作品を制作している姿がすごい。本物は素晴らしい」と話し、福島市の女性(40)は「どの作品からも優しさがあふれ、心が穏やかになる」と話した。会津若松市の芦沢雅子さん(50)は「こんなに小さな葉っぱで作品を仕上げていて感動しました」と話した。問い合わせはリトリーフアートミュージアム福島(電話090.8783.1313)へ。

 「作品に込めた気持ち届けたい」

 リトさんは、葉っぱ切り絵への思いを語った。

 ―初めての常設美術館だ。
 「夢ではあったが、最初は『何を言ってるんだろう』と驚いた。いつも多くの人に喜んでもらえる作品にしたいと考えており、この場所を新たなスタートに『こんな作品が見たい』という声にも応えていきたい」

 ―繊細な作品。制作中は何を考えているか。
 「没頭して無になっている。日が暮れると作品の撮影ができないので、太陽の沈み方は気になる」

 ―ファンにメッセージを。
 「特別なことをしてきたわけではないが、障害を前向きに生かすことで人生が変わった。しんどい思いをしている人にも作品に込めた気持ちが届いてほしい」

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