トヨタのタイヤ選択が奏功。午後復調で表彰台圏内に「良いスタートを切ることができた」/WRCポーランド

 6月28日、東欧ポーランドで開かれている2024年WRC世界ラリー選手権の第7戦『ラリー・ポーランド』は大会2日目を終了。

 TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)からは3台のトヨタGRヤリス・ラリー1が出走し、カッレ・ロバンペラ(69号車)が総合2番手、エルフィン・エバンス(33号車)が総合3番手、勝田貴元(18号車)が総合8番手につける結果となっている。

 前日、サービスパーク近くでのスーパーSSで開幕したラリー・ポーランドは、金曜日から一日を通しての戦いがスタート。拠点の北側から東側にかけての広いエリアで、3本のステージを日中の『タイヤフィッティングゾーン』を挟んで各2回走り、一日の最後にはミコワイキで2回目となるスーパーSSを走行した。

 その合計距離は113.50kmが予定されていたが、そのうち数本のステージについては観客の安全確保に関わる理由により、走行がキャンセルまたは中断となった。ステージを全開で走行できなかった選手に対しては、ノーショナルタイム(救済のための想定タイム)が与えられている。

 デイ2のグラベル(未舗装路)ステージはドライ路面となり、出走順が早いドライバーたちにとっては影響の大きいコンディションとなった。

 午前中は3本のステージを終えた段階で、エバンスが総合3番手、ロバンペラが総合4番手となり、ライバルに先行される。

2024年WRC第7戦ラリー・ポーランド エルフィン・エバンス(トヨタGRヤリス・ラリー1)

 デイ2は、サービスパークでの『ミッドデイサービス』が設定されず、選手たちは『タイヤフィッティングゾーン』での簡易的な整備作業およびタイヤ交換を済ませて午後のループに挑んだ。

 路面が比較的軟らかいことから、ライバルの多くは午前中と同じようにソフトタイヤのみを選択して午後のステージに臨んだが、TGR-WRTは全車がソフトタイヤとハードタイヤを組み合わせて選択。この判断が、タイヤの摩耗に厳しい路面コンディションとなった午後のステージで奏功した。

 最初のSS5でロバンペラがベストタイムを、エバンスが2番手タイムを記録。その結果、ロバンペラが一気に首位に立ち、午後になってポジションを巻き返した。続くSS6ではエバンスが2番手タイムで総合2番手に浮上する。

 SS6、SS7はステージがキャンセルとなり、ノーショナルタイムでポジションを下げるもふたりはトップ3をキープ。迎えたデイ2最終ステージでは、ベストタイムのロバンペラが首位のアンドレアス・ミケルセン(ヒョンデi20 Nラリー1)と1.8秒差の総合2番手につけた。5番手タイムのエバンスは、ロバンペラと僅か0.2秒差の総合3番手で一日を終えている。

2024年WRC第7戦ラリー・ポーランド カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)

 また今回がラリー・ポーランド初出場となる勝田は、午前中のステージではやや苦戦を強いられるも午後はペースが好転し、SS5で5番手タイムを、SS6ではエバンスと2番手タイムをシェア。二日目最後のSS8ではロバンペラとベストタイムを分け合い、首位と32.3秒差の総合8番手でデイ2を走り切っている。

 TGR-WRTチーム代表のヤリ-マティ・ラトバラは、「トップ3に2台が入ったので、全体的にとても満足できる一日だった」とデイ2を総括する。

「カッレ(・ロバンペラ)とエルフィン(・エバンス)は、本当に素晴らしい走りを見せてくれた。カッレはラリーに向けた準備がほとんどできず、ステージをあまり知らない状態で限界に挑戦するのは簡単なことではなかったが、ステージの2回目の走行ではかなり自信を持って走っているのが分かった」

2024年WRC第7戦ラリー・ポーランド カッレ・ロバンペラ(トヨタGRヤリス・ラリー1)とヤリ-マティ・ラトバラ代表

「またチャンピオンシップの観点から見ても、エルフィンにとって良い一日になった。(勝田)貴元は序盤こそ苦戦していたが、午後には自信を持って走っているように見えた」

「ラリーのスタート前に言ったように、今回は表彰台に2台を送り込むことが目標なので、良いスタートを切ることができたと思う。しかし、まだ先は長い。残念ながら今日はキャンセルされたステージもあったが、明日も安全に皆が楽しめるように、ラリーが順調に開催されることを願っている」

 競技3日目となる6月29日(土)のデイ3は、ミコワイキの北側から東側にかけてのエリアで3本のステージを、ミコワイキでのスーパーSSおよび『ミッドデイサービス』を挟んで各2回走行する。7本のステージの合計距離は124.10kmと4日間で最長で、リエゾン(移動区間)も含めた一日の総走行距離は636.83kmとなる予定だ。

2024年WRC第7戦ラリー・ポーランド 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)

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