『二宮金次郎像』の競売「55.1万円」で落札 金次郎の考えに感銘を受けた会社経営者「551のシュウマイが好きなので…」

競売にかけられた小学校の二宮金次郎像。最低価格は1万円からだが…。

落札者:私、551のシュウマイが好きなので、55…。

果たしていくらで落札されたのか?

■全国から25件の入札 落札したのは…

兵庫県三木市で競売にかけられた高さ1メートル、重さ23キロ、青銅製の「二宮金次郎像」。

この像は、2022年に閉校した旧・東吉川(ひがしよかわ)小学校の校庭に63年間、設置されていた。

金次郎像は校舎の解体と共に処分される予定だったが、市はさまざまな備品を有効に活用してもらおうと、今回、一般競争入札で売却することになった。

最低落札価格を1万円に設定したところ、全国から25件の入札があった。

一番高い金額を提示し、見事落札したのは、こちらの方。

福田 勊(つとむ)さん:ここに50センチくらいの石垣で、楕円形にして、その上に立てる。

姫路市の会社経営者、福田 勊さん(80歳)だ。

入札した像の設置場所は会社の駐車場で、多くの人に見てもらえるよう、道路に向けて置く予定だそう。

福田さんは、全国2000校以上の学校の同窓会をサポートする会社を50年前に設立。

同窓会のデータ管理や、母校の制服を着た「リカちゃん人形」を作る取り組みを行ってきた。

福田 勊さん:これが大体25センチくらいの、私が作った金次郎像です。

実は、福田さんは二宮金次郎の大ファンなのだ。

会社の玄関では、特注で16万円以上かけて作った像がお出迎え。仕事部屋のデスクにも置いている。

■金次郎の考えに感銘 「表情が好き」

福田さんは12年前、講演会で偶然見た二宮金次郎像に興味を持ち、その考えに感銘を受けたそう。

江戸時代後期に生まれた二宮金次郎は、農村の改革で活躍。

終戦まで道徳教育の教科書に掲載され、苦労しながらも勉学に励む「勤勉」の象徴となった。

昭和の前期には、「まきを背負って本を読む」二宮金次郎の像を、有志たちが地元の小学校に「寄贈」するのがブームとなり、金次郎像が全国的に広がった。

福田 勊さん:金次郎の教えの中に『誠実』という言葉があって、営業マンが『こいつなら契約してもいい』と、信頼を得るためには『誠実』しかないと。

最低価格は1万円だったが、果たして、落札価格はいくらだったのか?

福田 勊さん:最初は30万円くらいで出す予定で封筒に入れて封していたんです。ちょっとこれでは無理かなと思って、(入札日の)午前中で変えました。私、551のシュウマイが好きなので、『55』。

なんと、55万1380円で落札したそう。

そして、6月24日。契約のために三木市役所を訪れた福田さん。

福田 勊さん:2番手の入札金額、教えてくれへんの?

福田さんの入札額は55万1380円だったが、それに次ぐ2番手の入札額は51万6000円だったという。これを知った福田さんは…。

福田 勊さん:あ~ギリギリやな…。良かった。

もともと、顔の表情が好きだった。『報徳』の気持ちが表現されている、非常に素直な少年の顔です。

60年以上、小学校の校庭で子どもたちの成長を見守ってきた二宮金次郎像。きれいに磨いてからお披露目するそうだ。

(関西テレビ「newsランナー」2024年6月24日放送)

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