「プロデューサー」「提督」「マスター」「指揮官」……増え続けるプレイヤーたちの「職歴」─あなたが“転職 or 兼業”したのはどの作品?

「プロデューサー」「提督」「マスター」「指揮官」……増え続けるプレイヤーたちの「職歴」─あなたが“転職 or 兼業”したのはどの作品?

ソーシャルゲームなどに多い“基本無料”で提供されている作品は、文字通り初期費用がかからないため、気軽に始めやすいという利点があります。また、スタミナ制や時間経過報酬といったゲームシステムの関係で、長く遊び続けるようにデザインされる場合がほとんどです。

そのため、新たに正式サービスを開始したゲームへの乗り換えも気軽に行えますし、何本ものゲームを平行してプレイするのも、(限度こそありますが)決して難しい話ではありません。この記事を読んでいる読者の中にも、いくつものゲームを渡り歩いたり、毎日複数のゲームを起動する日々を送っている人がいることでしょう。

このような「気軽な乗り換え」の変遷を、プレイヤーキャラクターである主人公の役柄や名称を通じて「転職しすぎ」と表現する投稿がX(旧Twitter)で盛り上がりました。

そこで今回は、特に多くのユーザーが「就職」や「転職」、「兼業」を経験したであろう作品を振り返ってみました。基本無料系のゲームを渡り歩くと、果たしてどんな「経歴」を積んでいくのか。その一例をご覧ください。

■「プロデューサー業」は、原点にして今もなお拡大中!?

基本無料ゲームに興味があれば、『アイドルマスター』シリーズの作品に手を出した経験を持つ人も少なくないでしょう。本シリーズではプレイヤーは基本的に「プロデュ-サー」となり、担当アイドルのプロデュース業に邁進します。

近年だけでも、アイドルを題材とした育成ゲームは多数登場しましたが、このジャンルを大きく切り開いたのが『アイドルマスター』シリーズで、その出発点はスマホより遥か前のアーケードゲームになります。

20年近く遡る2005年に、アーケード向けに『THE IDOLM@STER』が登場しました。そのためこの頃は、ゲームセンターがプロデュ-サーたちの「職場」となります。リアル世界での仕事や学業を終えた後、ゲームセンターに「出勤」する姿は、当時ならではの光景と言えるかもしれません。

アーケードゲームの展開が終了しても、シリーズ作品が家庭用ゲームにリリースされ、その後スマホにも進出を果たしました。そのため、往年のプレイヤーだと20年近く前に「プロデュ-サー」になっており、その中には作品を乗り換えて現役プロデュ-サーを続けている……という猛者もいることでしょう。

いつの時代も、プレイヤーの隣に居続けた『アイドルマスター』シリーズ。そのため、プロデュ-サーへの「就職」や、復帰する「再就職」も、ひときわ多いと思われます。

■初の職歴が「提督」というプレイヤーも

広い時代にまんべんなくシリーズ作が登場した『アイドルマスター』に続き、こちらも長い歴史を持つのが『艦隊これくしょん -艦これ-』です。本作は海戦を描いた育成シミュレーションで、様々な「艦娘」たちが過酷な戦場を戦い抜きます。

『艦これ』の正式サービスが始まったのは、2013年の4月。初期ユーザーの場合、11年前に「提督」となって艦娘の指揮にあたりました。仮に『アイマス』から転職、もしくは兼業した場合、“プロデュ-サーから提督”という、かなり落差のある職歴を刻むことになります。

とはいえ、『艦これ』でも大事なのは育成です。勝手は違えども、アイドルを育成した手腕と意気込みで「提督」たちが艦娘たちを育てました。後にTVアニメ化も遂げたので、「艦娘」たちの新たな活躍を愛娘を見るような視線で見守った人も多いことでしょう。


■「転職」ラッシュがここから始まる!? 2010年代でプレイヤーの「仕事」が拡大

『艦これ』正式サービスの翌年3月に、『グランブルーファンタジー』が幕を開けます。こちらはファンタジー作品で、しかも大空に島々が浮かび、騎空挺で行き交うという壮大な世界です。

『グラブル』におけるプレイヤーは「騎空士」の役割を担い、騎空団を率いる団長となります。他の作品と同様に指揮をする立場ですが、同時に前線に出て戦うことも可能。プロデュ-サーのような完全な裏方ではなく、戦士としても活躍できるのは、比較的珍しい立ち位置です。

そんな異世界への転職を放たした翌年、2015年7月には『Fate/Grand Order』がスタート。現代を舞台としつつも、人類の未来を守るために過去にレイシフトする「マスター」となる日々が始まります。

この『FGO』に限った話ではありませんが、「マスター」という立場で呼ばれることが多いものの、キャラクターによっては愛称やあだ名で呼ぶケースもあります。マシュから呼ばれる「先輩」を筆頭に、「後輩」「同盟者」「マーちゃん」「ちゃんマス」「マスターちゃん」「未来さん」「子ジカ」など、その種類は実に豊富です。

「騎空士」で空を、「マスター」で時代を超える旅に挑んだプレイヤーたちに、2017年9月から『アズールレーン』「指揮官」への転職、もしくは兼業の道が開かれました。

こちらも海戦モノなので、「提督」から「指揮官」に移り変わった人もいることでしょう。役職の肩書的に、位が下がっているような気もしますが、プレイヤーにとっては些事に過ぎません。転職する理由は、立場よりも大事なものがそこにあるからです。

ちなみに『アズールレーン』でも、「指揮官」だけでなく「殿様」や「ご主人様」といった呼び方をするキャラが一部にいます。特に、ユニコーンの「お兄ちゃん」呼びにやられた指揮官も多いことでしょう。


■2020年代、職歴の変遷が極まる

2020年に入って早々、まずは『アークナイツ』の正式サービスが始まります。こちらの役職は、これまでと一味違う「ドクター」。プレイヤーの職歴に、また新たな1ページが加わります。

「マスター」や「騎空士」などは当てはまりませんが、「提督」や「指揮官」、「ドクター」などは実際に存在した仕事・役職です。しかし、現代の日本で実際に就くとなると、色々な意味で難易度はかなり高め。

その点、2020年9月に幕開けした『原神』の主人公は「旅人」なので、ゲーム内だけでなくリアルでも実現可能です。職というよりは生き方に近い肩書きですが、資格はいらず自称するだけで済みます。とはいえ、「旅人」で収入を得るとなると難しくなるため、実際のところ旅を楽しむのは『原神』の中だけ、というのがほとんどでしょう。

そして2021年には、『ブルーアーカイブ』「先生」に、『ウマ娘 プリティーダービー』「トレーナー」になったプレイヤーも多いはず。この2作品は同時期に始まったので、兼業で両方こなした猛者はかなり忙しない日々だったことでしょう。

2022年に入ると、『メメントモリ』「領主」への転職、もしくは兼業が始まります。部隊の指揮、アイドルの育成、サーヴァントの使役といった職歴に、今度は統治的な立場が加わりました。ゲーム的には統治の要素はほとんどなく、ジャンルとしては育成ゲームに過ぎませんが、プレイヤーが「領主」になるゲームは比較的珍しい話です。

また『メメントモリ』から少し遅れ、その翌月に『勝利の女神:NIKKE』で、新たな任務が幕を開けます。こちらの作品では、ニケたちを率いて戦う「指揮官」となり、地上の奪還を目指すことに。『アズールレーン』経験者なら、再びの指揮官職です。

なお、『勝利の女神:NIKKE』も「指揮官」以外の呼ばれ方が多く、「バードボーイ」「パートナー」「しもべ」「先生」「ぼっちゃん」「初心者さん」「ウサギさん」「コーチ」「新入り」「プロデューサー」「マネージャー」と、同一人物を指すと思えないほど多種多彩です。


今回紹介したのはごく一部の作品ですが、プレイヤーが作中で就く役職や立場は星の数ほどあります。珍しい例だけ振り返っても、『刀剣乱舞-ONLINE-』の「審神者」や、『文豪とアルケミスト』の「特務司書」、『ディズニー ツイステッドワンダーランド』の「監督生」などがあり、プレイヤーの職歴を鮮やかに彩ります。また、パンチが効いたものとしては、『ミナシゴノシゴト』における「パパ」がかなり熱量高めでしょう。

2023年~2024年も様々な作品が登場し、そこでさらにプレイヤーの職歴が増えたはず。また、直近では今年5月に『学園アイドルマスター』が始まったので、ふたたび「プロデューサー」に返り咲いた人も多いのでは。プレイヤーの職歴欄は、もはや履歴書に納まりきれないほどかもしれません。

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